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声優/アニソンレビュー&CDデータ語り

週刊文春・近田春夫氏の水樹奈々「PHANTOM MINDS」評を考える。


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カテゴリ: [雑報]

アニメ界隈外の音楽評論家の評価とは。

 愛読している猫とネギま!と声優さんに興味深い記事があったので、
考察してみました。考察と言うより、曲レビューに近いかも(;´`)

参考URL

 近田春夫が水樹奈々の歌唱テクを大絶賛!...と同時に侮辱!?(週刊文春) 猫とネギま!と声優さん

所感

 近田氏の批評ですが、まず結論から先に言えば、概ね同意見です。

うーむ。フィジカルなサービスならお任せ! といったところか? 聴いているとその悦楽ゆえに思考などどうでもよくなってくる......? これはむしろマッサージやエステに近いかもしれぬ。

 「PHANTOM MINDS」を何の知識もなく聴いてみた場合、まず印象に残るのがテクニック・・・歌い回しだというのは、よくわかる話です。歌詞がまったく頭に残らなかったのは僕だけでしょうか?エタブレなど、以前の曲ならそんなことはなかったのですが、この曲に関してはAメロ以外の箇所は、まるでクラシックを聴いているかのような感覚を覚えました。歌詞がなくても、歌詞が描く空気をリスナーは感じることができる。これは凄いことです。

そうした、意味よりアピアランスという姿勢は、歌唱においても揺るぎないほど貫かれている。結局このCDの何よりの聴きどころは水樹奈々のテクなのである。その完璧性といったら、正しさより官能美が自然におもてに聴こえ、しかしそう歌うことが意識下のものだと伝わってくるところだろう。まさにパーフェクトなヴォイスコントロールの行われていることは、ピプラートを聴くだけで分かる。この歌い方に偶然はない。

 聴き心地は抜群。その完璧さ故に、表現せんとしているものだけが見え、表現者の顔が見えない。悪く言えば、"歌唱力が鼻につく"。生々しさがない。歌が上手すぎるばっかりに、しばしば同様の結果を生んでいる歌手として、僕はJAM Projectを挙げます。彼らは、常に上を目指して、完璧を目指している。それ故に失ってしまう魅力がある。強靭な喉と、起用すぎるテクニックが覆い隠してしまうものがある。近田氏が最後にTDLのミッキーを例えに言っているのは、そういうことでしょう。

 80年代のアイドルソングとかを聴いてみると、水樹奈々に比べれば全然歌はうまくありません。表現力なんて言葉を使う必要もないでしょう。にも関わらず感じてしまう魅力というのがあります。例えば、近藤真彦のデビュー曲「スニーカーぶる~す」。下手だから魅力的なのではありません。その魅力の正体は、"弱さ"だと思うんです。(この辺は好みの問題が多分を占めるため、理解できない人はサッパリ理解できないかも)

 アニメや、あるいは実写ドラマでもいい。登場するキャラクターの設定を考えるにあたって、100%パーフェクトな存在ってのは、たいてい魅力がありません。したがって、弱点を作ってやる。それが人間味であり、萌え要素です。「PHANTOM MINDS」の水樹奈々には、それがないんですね。弱さを表現できていないのではありません。今の水樹奈々に弱さがないんです。

 ただし。オープニング・テーマの仕事は、映画の本編が始まる前に「視聴者のわくわく感を煽る」こと。Aメロのドラムを聴きなさい。そのドラムをバックに、軽やかに歌う水樹奈々の歌声を聴きなさい。僕は映画を見ていませんが、この曲が流れたところで充分にわくわくできちゃっていることくらい、想像すればわかります。この曲はアニメソングなんです。大事なのはそこです。アニメありきの音楽は、アニメを知ることで魅力が何倍にも増す。アニメを見終わった後で、この曲は進化を果たす。アニメを知らない近田氏に比べ、映画を見た「なのは」ファンが感じられる奥深さは圧倒的なはず。「なのは」を見ていない近田氏では、この曲の本当の深みにたどり着くことができなかった・・・ということです。

 よくよく考えてみれば、当たり前ですよね。アニメソングにおける歌手は、語り手。上で書いた弱さ云々は、そういう聴き方をすれば、どうでもいい。自分自身のリアルな感情をぶつけるわけじゃないから、近田氏はそこに違和感を感じてしまったんじゃないでしょうか。SF臭のない、水樹奈々の「なのは」以外の曲を聴けば、きっと評価は変わってくると思いますよ。

どうでもいい余談

たとえば彼の作風の(あまり指摘されないが)特徴のひとつに「拍の前に16分音符がふたつ、引っかけてメロディーに入る」を多用、というのがある。そうした間違いなくTKから始まった技法などがこの曲にもいくっかしっかりと受け継がれている。おそらく世代ということならば作り手ももう相当に交代が進んでいるに違いないシーンに於いて、いまだにTKの精神(?) が力強く伝承されているというのはちょっとすごいことなのでは......?

 これは、小室哲哉が広めた手法だったってのは初耳でした。解り易い例を出せば、「MOSSIVE WONDERS」のサビ「てんじょうのほし」の「てん」が16分音符ふたつです。この2音の後にドラムがズンタンズンタン鳴り出しますよね。やっぱりTKは偉大だったんだな・・・
 僕はアニソンしか聴かない人間。それ故に、アニソンのルーツとなった音楽については極めて疎くて、深く掘り下げることができない。やはり、こういう人の文章読むと、その辺の知識がついて面白いですね。

古:劇場版ハルヒの主題歌・茅原実里「優しい忘却」のPV配信開始!
新:アニマックスのライブイベント「ANIMAX MUSIX SPRING 2010」についての雑感。

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