アーティスト・戸松遥の分析魅力語り
目次
- アニソン系アーティストとしてのタイアップ
- 歌手としての指向性
- 独断で語る戸松遥の魅力
- 今後のアーティスト活動
- 必聴楽曲
アニソン系アーティストとしてのタイアップ
『かんなぎ』でのOP/EDを始めとして、『神曲奏界ポリフォニカ クリムゾンS』のED「こいのうた」、『ソ・ラ・ノ・ヲ・ト』のED「Girls,Be Ambitious.」、『もっとToLOVEる。』ED「Baby Baby Love」、『猫神やおよろず』ED「Oh My God」・・・と、タイアップ獲得率は良好。5作中4作が戸松遥自らが主人公/ヒロインを演じる作品で、いずれもED。OPがあればなお嬉しいですが、声優アーティストとしてはほぼ理想形ですね。
歌手としての指向性
あたかも演技の延長であるかのように「曲に自分から合わせていく」タイプ。職人気質なんですよね。小賢しい歌唱テクニックは使わず、セリフを話すように歌う。キャラソンだろうとソロ活動だろうと、アニソンだろうとノンタイアップだろうと、そのスタイルだけは不変。変幻自在ではあるものの、基本軸は、ややボーイッシュな声で、特にスフィアではスッキリしたまっすぐな歌声を担当。
決してアクの強いアーティストではなく、かなり淡白なヴォーカル。リコーダー・ボイスという言葉がしっくりくる。水樹奈々の歌唱力で圧倒する、ねちっこい歌声、田村ゆかり・豊崎愛生らの強烈な個性を持った歌声が好きな人には物足りないかもしれませんし、戸松遥に興味のない人でも急に振り向いてしまうような能力は無いと思います。派手な音楽を好むアニソンリスナーには評価されなくても不思議ではありません。そんな声優らしさを魅力に感じる人はいるはずですが、それは歌ではなく本人の魅力。
独断で語る歌手・戸松遥の魅力
その変幻性故に、歌手・戸松遥の魅力というものを伝えるのは非常に難しい。上述した特徴はあくまで特徴でしかないのです。「戸松遥という魅力的な人が音楽活動してる姿は、やっぱり魅力的だろう?」と言ってしまえばそれまでですが、あえて僕はヒロイン性の一言にまとめたい。昭和の大物アイドルのような、歌っている姿が絵になる人。歌っている時でさえも、"声優"を貫ける人。歌がキャラクターになる。コスプレのごとく、歌をまとう。戸松遥の歌は、他の歌手のそれとは違い、彼女自身が化けた姿に他ならない。歌を聴く分には、目は使いません。しかしながら、彼女が演じる数々のヒロインを確実に見ている。耳で見ているのです。(心で、あるいは魂で聴くのとはまた別です。彼女の音楽の性質上、軽く聞き流すBGM的なものも多いですし)
・・・まぁ、そんなことを言ったら本人からは「細かいこと考えるより、何も考えずに楽しんでください!」と言われるかもしれませんけど(爆)
今後のアーティスト活動
現状は、かつてスーパー声優オーディションで「タッチ」を歌ったという逸話に始まり、「motto☆派手にね!」に「Baby Baby Love」・・・と、80年代アイドルを意識した曲が目立ちます。ブリグリの曲提供を受けた「Oh My God」以降の方向性は未定ですが、初のライブツアー「オレンジ☆ロード」のステージを見た限り、まだアイドル路線は続くのかな、と予想してます。
上述したように、声質や音楽性で強烈なインパクトを残すタイプではなく、声優/アニソン系音楽の主要な購買層への訴求力は弱いと思います。本業での活躍ぶりは質・量ともに素晴らしいですが、アニメ以外・・・ナレーション等の仕事で一般層にも声を覚えてもらいながら、坂本真綾のような広い層に支持される・・・でもたまに(トライアングラーのような)アニソンらしい曲も歌うアーティストになれるといいですね。80年代的アイドル路線では厳しいでしょうが、「Oh My God」で見せてくれた、媚びない、飾らない"ミュージック・ヒロイン"戸松遥を色んなミュージシャンと一緒に築き上げていけば、水樹奈々のような本格派シンガーとはまた違ったスター像を生み出せるんじゃないでしょうか。
もっとも、それは売上ウォッチャーとしての考えで、色んなアニメのOPをガンガン歌っていって欲しいというのが率直な願いです。水木一郎は若い頃、個性のない声だと言われながらアニメソングを歌い、時代を作ってきました(ささきいさおという素晴らしい個性を持った仲間もいましたが)。シンプルな歌声はシンプルな曲に映える。シンプルな歌声のもとにシンプルな曲は流れこんでくる。どういう人達に売り出していくにせよ、戸松遥をよく見通せる、シンプルな曲であるということがキモでしょうね。今のところはそれを通せています。
ところで、アイドル=グループという図式が定着しつつある昨今ですが、戸松遥はソロで生きていける力強さを持っています。どことなく、少年隊や光GENJI、SMAPらの一方でソロのアイドルとしての完成度を高めていった田原俊彦を思い出すのは僕だけでしょうか。
関係の深い人物
串崎元 戸松遥のほとんどのCDに携わっているディレクターさん。
古屋真 戸松遥の楽曲の多くを担当している作詞家さん。
神前暁 「motto☆派手にね!」の作曲家さん。キャラソンでもアイマスなどで何度かタッグを組んでいます。
必聴楽曲
Running on 2009年6月17日発売。 中島愛・早見沙織とのユニット・エクリップス。近年の数ある声優ユニットの中でも最高峰と断言できますが、いくつか出たCDの中で戸松遥を一番堪能できるのがこのシングル。リズミカルでノリのいい、バスケがしたくなってくる「Running on」はもちろん、c/w曲の「nO limiT」のソロは戸松遥が今まで歌ってきた楽曲の中でも屈指の格好いいアニメソング。アルバムには収録されていないので、このCDを強くオススメします。 |
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THE IDOLM@STER DREAM SYMPHONY 03 2009年12月2日発売。 「とつげき豆タンク」の二つ名が示す通りの、底なしに明るいCD・・・ですが、その中に1曲混じっている「ALIVE(M@STER VERSION)」こそが、日高愛・・・いや、戸松遥の最高傑作と言ってもいいくらいの曲です。壮大な曲調だけれども、そこにあるのは、本当に小さくて深いもの。生命。詳しくはレビュー記事参照。 |
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Rainbow Road 2010年2月24日発売。 1stアルバム。その名の通り、楽曲は多彩の極み。ボーイッシュな「自己中男」「Counter Attack」にアイドルソング「motto☆派手にね!」、本当の意味での神曲「産巣日の時」、自ら作曲担当した「七色みちしるべ」、等身大の戸松遥に最も近いであろう「Girls, Be Ambitious.」、不思議な魅力を持った曲「未来時計」などなど・・・服を着替えるようにサラッと歌い分ける様は独特。 |
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渚のSHOOTING STAR 2010年8月4日発売。 変幻性とは別に持つキャラクター「元気な戸松遥」を濃縮したようなCD。ノンタイアップでも、セリフのような歌いクチは不変。そして、やみつきになるダンスが見どころのPVは必見。今後PV集のDVDかBDが出ないようなら、ファンはGETしておきたい一品。この曲もレビューを書いてます。 |
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これでいいのか?~はちゃめちゃライフ~ 2010年8月25日発売。 アイマスDSの日高愛を「陽」とするなら、みつどもえの丸井ひとはは「陰」。これらを聴いていてつくづく感じるのは、戸松遥ほど歌唱スタイルをキャラクターごとに最適化できる声優はいない・・・少なくとも現役でバリバリ仕事している人間に限定すれば、世界一のキャラソンシンガーと言っても過言ではないはず。・・・まぁ、そんな堅苦しいことを考えるより、まずは聴いてみて頂きたい。 |
戸松遥のCD売上・オリコンランキング分析も併せてどうぞ。