エンディングから名作の臭いしかしない。夏色キセキ 第1話「11回目のナツヤスミ」感想
ネタバレ抜きの序論
本編感想
ぜっこ~ぜっこ~絶好調~!!
まずザックリ見た感想。情景描写が丁寧。音で言えば、テニスボールが地面を打つ音、ラケットを落とした時の音、バックでみんみん鳴ってるセミの声・・・絵で言えば、このアニメを語る上で「聖地」という言葉が外せないわけですが、そんな仰々しい言葉を使うにはあまりにも平凡で日常的な光景の作画が、地味だけども実に凝っている。
紗季の育ちの良さを朝食の内容だけで匂わせたり、セリフに頼らないストーリー回しも巧い。昨期のシンフォギアとは色々と対照的。丁寧だと思います。
淡々と進むストーリーと裏腹に熱い「最強2-3 DREAM FIGHTER」の文字。
ストーリーについて。
飛んだのは4人の祈りに呼応した御石様の力に他ならないでしょうが、逆に言えば4人がアイドルになることを望んでいるわけではないのは火を見るより明らか。優香はそう望んでいるでしょうし、凛子は何考えてるかわかりませんが、夏海はテニスを夢にしているし、紗季も・・・本心はテニスじゃないんでしょうかね。少なくともアイドルはどうでもよさげ。
夏海は熱血で主人公らしく、御石様に「紗季と一緒にテニスで全国に行けますように!」と言っちゃうところとか、見てて恥ずかしくなっちゃいますけど、嫌いじゃないです。もはやアイドルになりたいわけではないけれど、「夢」を否定されることが許せない。言いたいことを勢いに任せてストレートに言ってしまう・・・この熱さ。紗季と凛子についてはまた次回以降語りましょうか。
今週の花木優香
この作品でストーリーを動かすキャラは優香。夏海と紗季が現実的で内面を描かれる対象なのに対し、優香は徹底してバカなウザカワキャラ。いつもヘラヘラして喧嘩中の夏海を茶化したり、気持ちを全否定されても嘘泣き戦術に出る狡猾さを持っていたり(幼少時代は本当に無邪気で可愛いキャラでしたが)。でも、真面目にはできなくとも状況をいい方向に進めようとしていて。この優香の無邪気な行動力が、少なくとも1話では現実とSFを結びつけるカギになったわけです。
・・・それにしても、戸松遥らしくもない。同じウザカワでも「ウザいけどかわいい」と「かわいいけどウザい」では魅力は全く異なってきます。絵で見ればどちらにも転がせるようになっていますが、戸松遥の演技が後者にしてしまっている。卓越した技量を持った人ですから、素直に演じすぎたのかな、という印象。もうちょっとキャラを魅せる方向に行って欲しかったです。次回以降に期待。
・・・さて。この作品、ニコ生での先行放送以来、何かとネガティブな感想やバッシングを見かけますが、僕個人の感想としては、むしろ面白かったです。これを書いている時点で、何度もリピートで見なおしています(無論、感想を書くためでもありますが)。不満点は、先述の戸松遥の演技の方向性と、キャラクターの絵の質感ぐらい。一番叩かれている脚本には、むしろグッジョブと言いたい。
そういう感覚は最近では『花咲くいろは』、『ベン・トー』、『モーレツ宇宙海賊』ぐらい。主題歌も素晴らしいです。特にED。世間のバッシング抜きにしても「HIGH POWERED」に不満タラタラだった僕が言うんだから間違いない。ただでさえいいのに、あの幼少時代と被せられたら・・・これはとんでもないEDですよ。
4/25発売の主題歌CD。夏色盤にはアニメDVDがついてきます。