沼倉愛美FINAL LIVE「みんなで!」豊洲PIT (2020/02/16) レポート
目次
ライブ参加に先駆けての前書き
沼倉愛美2ndライブツアー「アイ」 なんばHatch (2019/04/06) レポート
沼倉愛美のライブに参加したのは10ヶ月前のこと。彼女を知ったのは2008年末頃だったろうか。当時のアイドルマスターの新キャラクター・我那覇響の声優として知り、それ以来10年程ほどほどに気にかけてきた彼女の、初めて生で見るライブパフォーマンスは圧巻でした。歌はパワー、テクニック、声質・・・どれをとっても一級品。そんなヴォーカルに負けないパワフルさを持った、良質な楽曲群。衝撃と言わず何と言いましょう。「どれもいい曲だなー」程度に思っていた曲たちが、ライブに参加した後では違って聴こえてくる。あの時感じた熱量の余韻が記憶に残っているから、自分だけの強烈な補正が加わる。となれば、当然次が楽しみになる。「Desires」を聴けなかった、という心残りもあったから、余計に待ち遠しかったのです。
そんな彼女の音楽活動終了と、ファイナルライブ。正直残念でした。滅茶苦茶残念でした。結婚はいい、めでたい。活動終了はそう簡単に割り切れない。あれだけのライブを見せられてしまっては。ライブ抜きにしても、シングルもアルバムもハズレ曲無し。大鋼にとって彼女ほど自分好みの音楽をやってくれるアーティストは過去にもいなかったから。
ハマるのが遅すぎたという思いはあるものの、ついぞライブに参加できなかった遠藤ゆりかの時と違い、今回はファイナルライブへの参加権は得ました。整理番号は200番台。キャパ3103人の豊洲PITでは、かなり前に行ける。前回、予習無しでも楽しめたけれど、今回は合いの手くらいは覚えておこう。
前回感じたライブの印象は、とにかくダンスナンバーが格好いい。そして何よりアンセムが熱い。ペンライトを持たない「ぬー民」たちの中で思いっきり叫ぶことができる。そういうポイントが用意されている楽曲が揃っている。その上、アイドルマスターと共に育ち、育てられてきた彼女だけれど、そのソロライブに、アイドルライブ定番のコールやヲタ芸は影を潜める。「隣と仲良く、女子に優しく、ぬーさんにもっと優しく」の三大ルールさえ守ればよい、というおおらかな空間は、熱量と平和が共存する、まさに理想郷。そんな理想郷が実現できている要因は、ぬー民たちへの信頼感に他ならない。信頼する側もされる側も、何と格好いいのでしょう。
今回、楽しみな点でもあり、不安材料でもあるのが、リクエストを募集していたカバー曲について。沼倉愛美の代表作と言えば他でもないアイドルマスター。さて、仮にそんなアイマスの曲が披露されたとしたら、それまで拳を振り上げていたぬー民たちは、皆どうするだろう。別にどこぞのバンドリのライブのようにイザコザが起きるとは思ってはいないけれど、ペンライトどうする・・・?念の為持っていこうとは思っているけれど、あくまでソロのテイストでカバーを楽しむのが粋な気はする。
それと、カバー曲のためにソロ曲の数が減るとすれば、それが一番寂しい。流石にアルバムのリード曲や「Climber's high!」といったアンセムは歌うだろうけれど、それ以外の良曲・・・特に前回聴けなかった「Desires」は絶対に聴きたいし、他にももう一度生で聴きたいと思う曲は多い。このファイナルライブでは自分の曲を大切にして欲しい。
あとは、社会情勢。心配だけれども、ライブ前後で極力気にかけつつ、ライブ中はマスクは外して楽しむことになろう。バカで結構、バカになるさ。これが最後なんだ。沼倉愛美の集大成をしっかりと見届けるつもりだし、最高の時空間を作りたい。
(※ここまでは2020年2月15日以前に書いたものです。一部、あれから2ヶ月が経過した現在では批判を受ける内容だと思いますが、当時の正直な思いをそのまま書き残しておこうと思います。具体的な文言は使わないので、遠い未来にこれを読んでくれている方は、2020年に世界で何が起こっていたのか、別途調べてください)
バンドメンバー
キーボード:伊賀拓郎 (バンドマスター)
ギター:香取真人
ベース:中村圭
ドラム:大野陸
ダンサー(振り付け):TACCHI
ダンサー:REMON SAKUMA
ダンサー:M!chi
ダンサー:Acchan
ゲストヴォーカル:Lynn
セットリスト
01. 叫べ
02. ハレルヤDrive!
03. Checkmate
04. メドレー(Shining Days / グッバイ / Smiling & Smiling / Good Day)
05. 彩 -color-
06. Benvenuti
07. Hello, Ms.myself
08. カバーメドレー(恋愛したいっ!/ 心はきっと / またあした)
09. AVALON
10. DANCEメドレー(RELOAD / This Kiss / What you Want / Don't back)
11. 夜と遠心力
12. Spiral Flow
13. Desires
14. Climber's High!
15. 星の降る町
16. 言の葉
17. バラードメドレー(屋根上の朱い花 / まどろみ / SWAY)
18. 暁
19. 魔法
20. アイ
21. Anti-Gravity
22. My LIVE
23. みんなで!
<アンコール>
24. Come on New World!!
25. もっと一緒
26. HEY!
ライブの感想
実に3時間半に及んだ、途方も無いライブ。沼倉愛美がソロデビュー以来夜に出してきた楽曲のうち、歌わなかったのはたったの2曲。それについては後述するとして、全36曲・・・!沼倉愛美が集大成として、出したいものは全て出せたでしょう。楽曲一つ一つについて語ることはやめておきます。多過ぎるので(爆)
このライブに参加する意義の最たるところは、無論沼倉愛美の最後のライブ、集大成の場に立ち会うということで、彼女の生の言葉を聴くことができたのは大きいことです。最後でなければ、おそらく参加は断念していました。自分を含めた多くの人命を危険に晒すリスクを負ってまで参加したのは、これが最後の機会だからです。ただし、参加してそれだけで満足なのかと言われれば当然そうではありません。「もう一度、大阪で味わったあの感覚を味わいたい」、この気持ちを満たせなければ、無理して来なくても良かったね、となるわけです。無条件の愛を注ぐようなファンではないし、そこは正直でありたい。
そんなことを踏まえ、感想を一言で表すならば「ありがとう」です。彼女のパフォーマンスは文句無しに最高でした。大阪で心震えた「Spiral Flow」、「Don't back」をもう一度聴くことができた。大阪で果たせなかった「Desires」を聴きたいという願いも叶った。これらのダンスナンバーはダンスもキレキレで、良くも悪くも沼倉愛美に釘付けになってしまいました(詳しくは後述)。ダンスと言えば、「Anti-Gravity」だけ別枠で終盤に持ってきたのも熱かったですね。メドレーで歌わなかったので、てっきり今回は外されたものと思っていただけにビックリでした。
上述した通り、少し不安だったカバーパート。その不安を一瞬で飛ばしてくれたのが『恋愛ラボ』のOPだった「恋愛したいっ!」。ちなみに読みは「らぶしたい」です。この曲がリクエストでぶっちぎりの票数を獲得していたんだとか。嬉しいですよね。ぬー民たちが望んだ楽曲が、おそらく今後生で歌われることが無いであろう曲だったことも嬉しいし、単純に自分がかつて好きだったアニメの、好きだった主題歌だったことも嬉しい。何より、知ってる曲・・・合いの手をいれられる曲だったこと。その場で何の雑念もなく楽しめたこと。これが一番でした。
ライブ中、実は雑念を抱いている時間は長かったのです。「これが最後なんだ」「Desires来てくれるかな」「Desires聴けた・・・!」なんてライブに関することだけならまだいい、「マスクつけてらんないけど、でも本当に大丈夫なんだろうか」「帰ったら会社にウダウダ言われるんだろうな・・・」「いや、ここは集中しないと」なんて封殺すべき雑念もずっと抱えていて、あの大切な時間を完全に満喫できたのかと言えば、答えは自分自身の雑念を要因として、NOでした。そういう集中が下手なんです。そんな大鋼が無心で楽しめたのが「恋愛したいっ!」だったのです。これなんだよなぁ、アニメソングの魅力って。音楽性は時代とともに変わってくけれど、アニメ視聴体験とセットで身体に染み込んだキャッチーな音楽というのは、無条件で身体が喜ぶんですよ。
ちなみに『恋愛ラボ』はギャグ良し作画良しの沼倉愛美初主演作。ニコニコで1話が無料で見れるので、未視聴の沼倉愛美ファンは是非お気軽に。
ちなみに他のカバー曲については・・・「心はきっと」「またあした」は知らない曲だったし、沼倉愛美初の本人名義曲「AVALON」もリリース当時はアイステを聴いていましたし、CDも買っていたのですが、あのCDはただただ「DEAD or ALIVE」が素晴らしく、「AVALON」については全く覚えていなかったので、落ち着いて聴き入っていました。
Lynnとデュエットした「Climber's high!」はともかくとして、「My LIVE」、「アイ」、それに今回のライブのテーマ曲とも言える「みんなで!」といったアンセムをあっさりと通過点にしてしまったのは個人的には勿体ないなとは思いました。ただ、アンコールの3曲の名前を見れば納得はできます。これはおそらく彼女のライブの参加経験が無い人には理解できないでしょう。あれだけ多くのアンセムを持つ彼女が選んだアンコールの3曲は、CD音源では地味な、みんなで楽しめる楽曲。「みんなで」というテーマを、言葉ではなく実践し体現する楽曲たち。ライブ後にオフ会に参加させてもらいましたが、やっぱり皆あれらの曲大好きでしたよね。
沼倉愛美が音楽活動で、あるいは今回のライブでやりたかったことは、おそらく「Come on New World!!」で歌っていることそのままだったと思うし、その思いはきっと達成されたんだろうな、と思っています。
ここは何でもアリの素晴らしき世界
楽しいだけで何が悪いというのでしょう
ここで心を裸にできなきゃ
人生損していくばかりだぜ
「何でもアリ」というのは無論本当に何をやってもいいということではなく、けれど、常識なんて無粋な言葉を使わなくても、私達は楽しみ方ってものを解ってるよね、という、そういうファンへの信頼の言葉です。ライブがあるたびに家虎がどうのと言っているようなアーティストには、絶対に口に出せない言葉です。そんな信頼関係が存在できたのは、ロマンのないことを言えば、単に年齢を重ねた大人のファンが多いためかもしれないし、或いは無粋なコールを入れなくても楽しめる楽曲作りをしてきた成果かもしれません。
時期に不運はありましたが、大勢のファンが集いました。ライブは大成功だったと言えるでしょう。どれくらい多かったかと言うと、大鋼はパンフレット以外のライブグッズを買えませんでした。「Come on New World!!」で振れるものが何かないかと、会場の最寄りのコンビニで業務用タオルを買ったのは、良くも悪くも思い出になりました(爆)
大鋼は特定の誰かの一途なファンではありません。ただ、沼倉愛美ほど自分好みの歌を歌ってくれて、自分好みのタフな歌詞を作詞できて、なおかつあれほどの熱狂的なライブ空間を作れる人は、もう出てこないんじゃないかなぁ。満足度で言えば、これまでのライブ参加経験の中でも頭一つも二つも抜きん出ています。ブッチギリのNo.1アーティストです。その根拠として提示できる資料が1stライブツアーのBDしか無いのが残念でなりません。
ともあれ、改めて。良いライブをありがとう、ぬー。今後の声優としての更なる活躍を期待しています。できれば、キャラソンをまた沢山歌って欲しいし、生歌を聴ける機会があればな・・・と思っています。
ぐだぐだ雑感
やっぱり映像化して欲しかった。
今回のライブで唯一の不満です。会場に入って、客席の後ろの方を見て、カメラが無い事を確認して、やっぱり残念でした。思い出が記録に残らない、というごくごく単純な理由が第一だし、前述のように大鋼は雑念の多い人間なので、リアルタイムコンテンツを楽しむのが下手というのもあるし、それに加えて・・・
これはもう沢山の同意が欲しいと思っているのですが・・・今回もこれまで同様に素敵なダンサーさん達が参加していましたよね。でも、ファイナルライブなので、当然、沼倉愛美の姿を目に焼き付けておきたい訳じゃないですか。となると、せっかくのプロのキレッキレのダンスをじっくりどころか、ほとんど見れなかったんですよ。2ndツアー大阪ではTACCHIに釘付けになってしまったくらい凄かったし、1stツアーのBDを見ても、やっぱりTACCHIのインパクトが強烈過ぎるんですよ。それを今回は見れなかった。勿体ないにも程があります。
1stライブBDの試聴動画より「Spiral Flow」。
TACCHIの汗と表情のインパクトが強すぎるのじゃ・・・
先日発売された麻倉もものアルバムには、当初商品化する予定が無かったという1stライブ映像が特典としてついていました。正直、羨ましいと思いました。たとえ商品にするレベルのものでなくても、思い出が記録として残るというのは、素晴らしいことだとつくづく思います。まぁ、商品レベルのものがちゃんと発売されるのが一番いいのは間違いないですけど。
演奏されなかった唯一の楽曲について。
さて、前述したように、今回の盛り沢山のライブの中で、歌われなかった楽曲が2曲だけありました。そのうち1曲は諏訪彩花とのデュエット曲「わたしたち」。ただ、着替えタイムにバンドによるInst verの演奏がありました。なので、このライブで演奏されなかった楽曲は唯一つ。
唯一歌われなかった楽曲の名は「I Love You」。
意味がないはずがない。この曲だけを外した理由があるはずで、そしておおよその人が真っ先に思い浮かべるであろうことは、彼女の結婚でしょう。ネガティブな人、あるいは茶化したい外野がこのことに気づけば「お前らのことは愛してないんだとよ」と言ったことでしょう。ただでさえ、結婚発表時に2ndライブツアーのグッズが散々話題になった後だから、なおのこと。可能性は否定しません。別に意地悪な物の見方をしなかったとしても、ケジメとしてファンへの大好きとは線引きしたいと言うなら理解できます。或いは、この曲を歌うことで観客を冷めさせはしないだろうか、という不安もあったのかもしれません。ただ、この曲の歌詞を眺めると、もう少し違う考えが頭に浮かびます。
沼倉愛美「I Love You」の歌詞 / 歌詞検索サービス「歌ネット」
ラブソングであると同時に、いや、それ以上に「未練」の歌なんですよね。今回のライブで伝わってきたのは、最後に皆で楽しんだら、前を向いて、お互い先に進もう・・・ということ。この曲を「未練」の象徴として、敢えて外した可能性というのも、あるんじゃないでしょうか。真相は沼倉愛美と、ごく一部の人のみぞ知ることで、この先も語られることはないでしょうが、どうせ解らないのなら、ネガティブな結論付けをしたくはないですからね。
最後に
バンドマスターのイガーマンが昼間は別のライブに参加することがLINEライブで明らかになり、開演に間に合うのかどうかが前々から疑問視されていたのですが・・・まさかのスピード違反で罰金。開場前で並んでる時に皆ざわついてて、「伝説のライブの前に伝説作っちゃうのか・・・」ってなってました。よく間に合ったな!でももう無理しちゃダメだぞ!
公演終わりました
豊洲にいくっす pic.twitter.com/mX8oUAF3YB— 伊賀拓郎 (@igatakurou) February 16, 2020
会館から出る車列が大渋滞でクソワロタ
これは間に合うかなぁーーーーーどうかなあぁーーーーーーーー— 伊賀拓郎 (@igatakurou) February 16, 2020
高速警ら隊の皆様
職務お疲れ様です
3点で3万5千円です pic.twitter.com/LMXscw6Nlv— 伊賀拓郎 (@igatakurou) February 16, 2020
関連リンク
沼倉愛美 公式ブログ - お礼 - Powered by LINE
アーティスト沼倉愛美の魅力を知る上で、1stライブツアーのBDが至高にして唯一の映像資料。このBDとコンプリートアルバムの2つがあれば全てをフォローできます。