DAIMONZI-X

声優/アニソンレビュー&CDデータ語り  

DAIMONZI-Xアニソン年間大賞2020

2021年04月11日 15:32 更新                  
カテゴリ: [2020’s作品][アニソンレビュー]

タグ: [][][]

目次

  1. ノミネート作品リスト
  2. 新人賞
  3. 優秀賞 (今ここ)
  4. DAIMONZI-Xアニソン年間大賞
  5. あとがき

優秀賞

 贔屓目抜きに素晴らしかった作品たちと、贔屓せざるを得ないほどのめり込ませる作品たちに贈る賞です。今年は全11曲・・・!ノミネート曲数が少なかった割に多いぞ!

赤城(CV.中原麻衣)
悠久のカタルシス ~赤城 ver.~


 アニメ『アズールレーン』キャラクターソング。昨年の年間アニソン大賞に輝いた加賀verのような凄みは無いものの、赤城というキャラクターの孤独さ、ほっとけなさ、美しさといったものを中原麻衣が見事に表現しています。

 正直なところ・・・第一印象は「平凡だな」と思っていたんですよ。その意識が変わったのは、中原麻衣が演じる他の作品のキャラクターのイラストを描く際にBGMとして聴いていた時。じっくりと聴いていると、いろんなことに気づくんですよね。「た行」や「ら行」がきれいだな、とか、そういうのは、人体で言えば指先きれいだな、なんてのと同質で。「あれ?この曲に惚れてしまった・・・?」なんて、そんな錯覚に陥ってしまう。赤城が・・・中原麻衣が魅せる、加賀とは別質の凄み。

TVアニメーション『アズールレーン』キャラクターソングシングル Vol.9 赤城(Amazon.co.jp)

ベルファスト(CV.堀江由衣)
Pro Tanto Quid Retribuamus

 こちらもアニメ『アズールレーン』キャラクターソング。ゆったりと進むイントロからBメロまでと打って変わっての格好いいサビ。盛り上がるパートでも決して力を込めない堀江由衣らしさも堪能できるというか、堀江由衣以外の何者でもないのですが、そこがいいんですよね。望まれる個性の極致。

TVアニメーション『アズールレーン』キャラクターソングシングル Vol.10 ベルファスト(Amazon.co.jp)

沼倉愛美
みんなで!

 沼倉愛美コンプリートベスト「みんなで!」より。沼倉愛美のアーティスト活動の中で最後にリリースされた楽曲。

 明るくて優しそうなタイトルだけれど、その中身は力強い。思えば、この人が作詞を担当した楽曲は一貫してタフだったし、そんなところに惹かれた大鋼のような人間もいます。パワフルで安定した歌唱、個性の塊のような声質、ダンスナンバーもロックナンバーもアンセムばかり。そこにタフな歌詞というエッセンスが加わる。価値観的なところをくすぐられると、これはもうドツボにハマってしまう。

 惜しいと言えば違いない。ライブパフォーマンスにおいても沼倉愛美以上の人は見たことがありません。個人的には・・・あのファイナルライブもコロナに神経尖らせながらの東京入りだったので、かつてのなんばhatchでのライブのように雑念抜きで楽しみたかった。それももう叶わない。アイマスライブには興味を持ちきれないし、やっぱりあのソロ活動ならではの空気感が好きだったわけで・・・ファイナルライブが映像化しなかったのも残念でしたね。「すべてをかけて命を燃やした」彼女らしいと言えばらしい潔さではあるけれど。

みんなで! (Amazon.co.jp)

プリンツ・オイゲン(CV.佐倉綾音)、プリンス・オブ・ウェールズ(CV.橋本ちなみ)
Dance In The Naval Engagement ~運命の舞踏海~

 アニメ『アズールレーン』キャラクターソング3発目。誤解されてもしょうがないと思いますが、大鋼は決してアズレンに熱を入れているわけではなく、ゲームは未プレイ、アニメもチラ見程度で、なんならストレイキャッツの代表の木皿陽平だって、大鋼がランティスを一番ヘイトを覚えていた頃に、いけ好かないラブライブを世に出した、贔屓目には見れない人物です。けれども・・・流石にこれだけ良質なキャラソンを連発されたら認めないわけにはいかんですよ。2021年もストレイキャッツが要注目レーベルであることは揺るぎません(でもアズレン以外の曲聴いてないや・・・)。

 で、この曲。橋本ちなみの声好きなんですよ。橋本ちなみが必死に歌っているのがいい。多分、プリンス・オブ・ウェールズはこんなキャラじゃないんだろうな・・・と思うけれど、この「さらけ出してる感」は誰にも真似できないですよ。一緒に歌ってるあやねるも実は声質が近かったりするのですが、こちらは格好良くキマっていて、好対照。相反する個性がぶつかり合い、重なり合うデュエットというのは素晴らしいものです。

TVアニメーション『アズールレーン』バディキャラクターソングシングル Vol.1 プリンツ・オイゲン & プリンス・オブ・ウェールズ(Amazon.co.jp)

クイーン・エリザベス(CV.上坂すみれ)、ウォースパイト(CV.上坂すみれ)
ウェルカム トゥ ブリリアントパーティ☆

 アニメ『アズールレーン』キャラクターソング4発目。上坂すみれと上坂すみれによるデュエット。元々上坂すみれの、ウォースパイトみたいな頭身の声質(『SHOW BY ROCK!!』のチュチュとか)が好きだったのですが、ここ数年の彼女のあざとい小娘芝居も各アニメで異様な存在感を見せていて、凄いなぁ・・・と思っていたところでもあります。そんな上坂すみれの2つの歌声が、シンプルで詰め込み過ぎない楽曲に乗る。極上モノのキャラソンです。

TVアニメーション『アズールレーン』バディキャラクターソングシングル Vol.2 クイーン・エリザベス & ウォースパイト(Amazon.co.jp)

上田麗奈
いつか、また。

 アルバム「Empathy」収録曲。2020年、上田麗奈はこのアルバム以外にもシングル「リテラチュア」もリリースしていて、今後の活動の活発化にも期待したいところではありますが、その音楽は世の多くのそれと比べて極めて異質。そんな異質な楽曲群の中でも一際異質な存在感を放つのがこの曲。その佇まいは個展の1コーナー、静寂の中の白き引力。

 試聴動画で聴いただけなら、「前向きな、いい曲だね」となるかもしれないし、「実はヤンデレ曲?」くらいにも思うかもしれない。実際、ここだけでも聴く価値はあるけれども、それはほんの一部を切り取っただけに過ぎない。

 個人的な趣味の話で言えば、全く該当しない曲。病的な音楽、暗い音楽には拒否反応が出る人間です。そんな人間ですらも引き寄せてしまう、とてつもない引力。怪優・上田麗奈の迫力を感じるという点においてはこれ以上のコンテンツは存在しないのかもしれない。

 上田麗奈、どこぞの令和アニソン大賞では特別賞に選ばれていました。どういう基準で選出したのかは解らないけれど、しっくりくる選出ではありますよね。この人の歌は世の多くの楽曲と同じ土俵にはいない。楽しみ方、味わい方が違う。だから別の基準で評価したくなる。

Empathy(Amazon.co.jp)

Clutch!(立花理香, 白石晴香, 山下七海, 佐伯伊織, 朝日奈丸佳, 芝崎典子)
摩擦主義

 スマホゲーム『八月のシンデレラナイン』より、デジタルアルバム「グラウンドの響」に収録された、倉敷舞子(CV.佐伯伊織)のテーマソングとも言うべき曲。これまで爽やかな楽曲を披露してきたClutch!にとって初のシリアス曲。メンバーの名前を歌詞に織り込んでいるあたり、何ともクールに見えて実は仲間想いな倉敷先輩らしい。

 終始重苦しい。ただただ格好良いという曲ではありません。マウンドでの倉敷先輩も制球が生命線の投手ですが、ひたすらに感じるのは泥臭さ。家庭に問題を抱える倉敷先輩には、孤独以外のささやかな安らぎすら無いけれど、そんな暗闇の中で摩擦を受け止めながら進んでくれる仲間。そう考えると、最大の見せ場である「覚悟しな」を言うのが倉敷先輩じゃなくて九十九というのは滅茶苦茶熱いですよね。

 ちなみにハチサマ3(台風で中止)のチケット特典として配布されたのは2019年ですが、楽曲配信で一般流通したのが4月なので今年の年間大賞にノミネートしました。

グラウンドの響(Amazon.co.jp)

虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会
虹色Passions!

 アニメ『ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会』OP。この曲のAメロのベースが好きなんですよ。お決まりではあるけれど、このテの曲ではAメロBメロはソロの歌声を堪能できる格好の漁場になることが多いですが、この曲もそう。だからついついAメロを聴きたくなるわけですが、気づけばベースの音を探してしまう。

 歌で言えば、やっぱりBメロの果林とエマ。久保田未夢が果林として、けだるく歌ったり喋ったりするだけで存在感が光り始める。本当、いつの間にこんな声優になったんでしょうね、彼女。そんなけだるい果林がいるから、その後の指出毬亜のリコーダーボイスも光りますよね。ソロパートのトリに相応しい。

TVアニメ『ラブライブ! 虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会』オープニング主題歌「虹色Passions! 」(メガジャケット付)(Amazon.co.jp)

石原夏織
Against.

 石原夏織5thシングルにして『キミと僕の最後の戦場、あるいは世界が始まる聖戦』OP。ジャニーズっぽいな、と感じたのは大鋼だけでしょうか。情熱的で、ノスタルジックで、でもしっかりダンスナンバー。

 堀江由衣ほど極端ではないけれど、石原夏織もどちらかと言えばマイペースで抑揚の山と谷の差が少ないタイプ。高音も決して無理せず、力強く歌い上げようとはしない。そんなスタイルを個性として定着させた上で、歌が巧くなりましたよね、キャリさん。鼻につかない巧さ。誤解を恐れずに書くと、下手と言われる可能性をはらんだ巧さ。石原夏織らしい耳ざわりを活かす歌唱テクニック。素晴らしいと思います。

石原夏織5thシングル「Against.」[初回限定盤](Amazon.co.jp)

宮下愛(CV.村上奈津実)
サイコーハート

 アニメ『ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会』挿入歌。明るい。眩しい。この曲はもう、作中でのライブシーンが素晴らしかったです。それについてはアニメ年間大賞の記事の方でじっくり書いたのですが、やっぱり聴いてる人間を元気にするエンタメの鑑。太陽ですよね。

 歌声もスカッとエッジがきいていて、聴き取りやすい声。そこにしっかりと元気な表情が乗る。Aメロの「ねぇ今日は」も、サビの「Woh Woh」も一音一音を大切にしていますよね。「ウォウ・ウォ・オー」ですもんね。『大鉄人17』を思い出しました(古)

 村上奈津実はWikipediaを見る限り2016年からアニメの仕事をしているようですが、この人のキャラソンをもっと聴きたいなと思いました。頑張って売れっ子になって欲しいな。

TVアニメ『ラブライブ! 虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会』挿入歌シングル第二弾 「サイコーハート / La Bella Patria / ツナガルコネクト」【宮下 愛盤】(Amazon.co.jp)

桜坂しずく(CV.前田佳織里)
Solitude Rain

 こちらもアニメ『ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会』挿入歌。ドラマティック of ドラマティック。キラキラで、ノスタルジックで、けれど激しく力強い方向に動いていく音楽。

 演劇部設定を活かした楽曲だけれど、その孤高ささえ覚える佇まいは、演劇部というより舞台女優。雨の中で決意を歌う・・・そんなクサさも女優だからしっくりくるし、それはおいそれと他の誰かがマネできるものでもありません。このMV、サムネイルからして凄くいい表情ですよね。ライブ中はずっと、このうっすらジト目気味の表情が凄く印象的。あと、アウトロでラーメン食べ終わってからのドヤ顔タオルくいっ、が好きです。

TVアニメ『ラブライブ! 虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会』挿入歌シングル第三弾 「Butterfly / Solitude Rain / VIVID WORLD」【桜坂しずく盤】(Amazon.co.jp)

   

ページ: 1 2 3

カテゴリ: [2020’s作品][アニソンレビュー]
タグ: [][][]