アニメ『IDOLY PRIDE』感想
目次
- 前置き
- ストーリー構成とサプライズ
- 麻奈
- 早坂芽衣という起爆剤
- ユニット分割
- 最終的な予定調和
- 各アイドルユニットについて
- ライブシーンの総合的な出来
- TRINITYAiLE
- LizNoir
- サニーピース
- 月のテンペスト
- 判定と観客と朝倉
- 腑に落ちない判定(成長描写不足とライブシーンの決定打不足)
- 従順すぎる人間たち
- 朝倉だけは人間だった
- まとめ
- ゲーム版への期待
前置き
1本のアニメ作品について一つの記事をおこすというのは、2012年の『夏色キセキ』以来9年ぶりです。あの頃は1話毎に感想を書いていたので「以来」という言葉は適当ではないかもしれませんが、ともあれ10年以上思い入れのあるミュージックレインという事務所と、かれこれ8年どっぷり浸かっているゲーム会社QualiArtsが組んだ作品ということで、かつてない期待を持って視聴したアニメです。
ストーリー構成とサプライズ
麻奈
長年深夜アニメを見ている人なら察していた人も多いでしょうし、「サヨナラから始まる物語」なんて曲が発表されれば感づいた人は沢山いたことでしょう。世間一般に名の知れた芸能人がこのテの仕事を長く続けた例はありません。だから、作中のどこかで長瀬麻奈が退場するのは間違いないと見ていたし、死も十分あり得ることだと思っていました。
ただ・・・流石に幽霊は予想できませんよね(爆)麻奈の死を見て「やっぱりな」と油断しきったところでブッ飛んだ超展開。これは見事だったと思います。牧野と麻奈にために1話まるまる使ったのはアニメスタッフの超ファインプレーだったと思います。
早坂芽衣という起爆剤
2~3話で星見プロの大部分が揃いました。ほぼほぼおとなしいキャラで、琴乃でさえも思っていたより性格は丸く、ストーリーを面白い方向に動かせる存在がいなかった・・・というより、正直アニメ化以前から思っていました。星見プロ、いくらなんでもキャラ弱すぎないか、と。
そこに4話の芽衣。第一印象として、人気の出るタイプのルックスではないなぁ・・・と思っていました。CVの日向もかは面白い人オーラがあるけれど、インタビュー動画で声を聴いていても、ジブリ声優かな?と思ってしまうレベル。更にはバーチャルライブやアニメMVなどでも完全に空気。いかにも実力派な怜はともかく、芽衣の登場をわざわざ勿体ぶるのが理解できなかったのです。
ところがどっこい。塀から飛び降りたかと思えば「そっちの娘もじゃーねー」とくる。2話と3話で作ってきた空気ブチ壊しですよ。幽霊が見える!それだけで完全空気キャラから最重要人物にランクアップですよ。しかも新人が入ってきて琴乃が荒れる!牧野の部屋に入り浸る!麻奈に話し相手ができる!さくらの胸の傷に最初に気づく!ストーリーをたった一人で一変させちゃいました。
もっとも、起爆剤的活躍抜きにしても魅力的なキャラクターではありますけどもね。レッスンシーンの絵は数枚程度だけど、動かさずとも躍動感、魅力が十分に伝わるものでした。
ユニット分割
麻奈の幽霊化に次ぐ、第2のサプライズがユニット分割でしょう。これはもうゴメンナサイな話なのですが、「ユニット名に星見プロダクションって・・・しかも3文字にプロってアイマスじゃあるまいし・・・」とか思ってました。
当ブログでは過去に何度も書いていますが、ユニットの人数は多ければ多いほど魅力が無くなると思っています。2人や3人ならメンバーそれぞれが個性を引き立たせ合うことも可能でしょうが、それ以上・・・まして10人など、短いソロパートに、個性が完全に薄まりきった合唱パート・・・そんなものに魅力など微塵も感じません。だから、OPもEDも「サヨナラから始まる物語」も「Pray for you」も「Shine Purity」も、いくら楽曲が良くてもヴォーカル的な旨味が無い曲だと思っています。
そういう価値観で生きている人間にとって、ユニット分割は朗報中の朗報だったのです。5人でも多いかな・・・と最初は思ったけれど、「SUNNY PEACE HARMONY」も「月下儚美」も実に素晴らしかった。これまで全く見えてこなかった10人の歌声、アイドル的魅力がバシバシ伝わってくる見事なライブシーンでした。世間的には、その後の2ユニットの快進撃のストーリーが不満という話もよく見かけましたが、あのライブシーンを見てしまえば快進撃は妥当じゃないかな、と思っています。
最終的な予定調和
快進撃は妥当・・・とは書きましたが、NEXT VENUSグランプリにまで駒が進めば話は別です。トーナメントの結果に対しては大いに不満があります。トリエルとリズノワの扱いについてはじっくり後述しますが、決勝戦に本気を感じなかったんですよね。引き分けという結果もさることながら、そもそもサニピVS月ストをしっかり描写しようって気概を画面から感じませんでした。ちょっと残念でしたね。そこをしっかり見せた上での引き分けなら、多分納得できたと思います。
最終回の見せ場を別に用意したことも理解はしています。このアニメの最終回にサプライズがあったとしたら、それは「さくらと琴乃の物語」から「牧野と麻奈の物語」に帰ってきたことでしょうか。琴乃に「song for you」を歌わせる演出は見事だったし、それをバックにした牧野と麻奈のシーンも素晴らしかったです。・・・ただ、だからといって、「さくらと琴乃の物語」がなぁなぁになってしまったのはやっぱり残念です。
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