アニメ『IDOLY PRIDE』感想
目次
- 前置き
- ストーリー構成とサプライズ
- 麻奈
- 早坂芽衣という起爆剤
- ユニット分割
- 最終的な予定調和
- 各アイドルユニットについて
- ライブシーンの総合的な出来
- TRINITYAiLE
- LizNoir
- サニーピース
- 月のテンペスト
- 判定と観客と朝倉と
- 腑に落ちない判定(成長描写不足とライブシーンの決定打不足)
- 従順すぎる人間たち
- 朝倉だけは人間だった
- まとめ
- ゲーム版への期待
各アイドルユニットについて
ライブシーンの総合的な出来
1話の麻奈のライブシーンや、さくらの「song for you」が象徴的ですが、キャラを動かないライブがいくつかありました。それに対してはあまり不満はありません。半端なダンスの垂れ流しをやられるよりは余程良いです。「song for you」で、紙芝居でもさくらのリハビリシーンが出てきたのは凄く良かったです。逆に、動くシーンで、世間でよく言われていたのは動きがカクカク・・・所謂コマ落ちですか。そこがちょっと勿体なかったですよね。BD2巻がリリースされたら配信と見比べたいところです。2Dでのアップは、どのライブもスタッフの気合が感じられました。
TRINITYAiLE
このアニメで一番不憫だった人たち。序盤で何やらよくわからない実力者として登場したものの、バックボーンが何一つ見えないまま、キャラクターがペラッペラに薄い状態で第10話に無理矢理全部詰め込んだ感じ。それでもまぁ、詰め込んだだけ少しは報われたのかな・・・優とすみれ・・・というか、各ユニットのリーダー以外のキャラについては、アニメで掘り下げる気は最初から無かったんでしょうね。牧野と麻奈、琴乃とさくらの物語だと割り切った上での、取捨選択の最たる犠牲者だったと言えるでしょう。
楽曲も・・・「les plumes」はまぁ悪い曲ではないのですが、強キャラに見合う曲では無かったんじゃないかなぁ。まぁ準決勝のサニピの曲に負ける程ではないと思いますけれども。
あと、10話ラストの瑠依の涙がやたら大粒だったのが印象的でした。
LizNoir
「まだ新人枠・・・?」というツッコミはさておき、ライバルとしてはトリエルと違って丁寧に扱われた印象があります。3話での課題曲・・・「Shine Purity」はこのアニメで初めてのちゃんとしたダンスシーン。アニメで歌は登場しなかったけれど、れっきとした星見プロの歌。でもこの曲を聴いてももうあの2人のダンスしか思い浮かびません。声優のバーチャルライブを見ても、ゲーム版のライブシーンを見ても全く物足りないくらい自分たちのモノにしていました。足音も、服が風を切る音も無い「Shine Purity」はもう、欠陥音楽と言っても仕方ないくらいに。
莉央については、この人についてなら一晩中だって語れてしまうくらい面白いキャラクター。アニメではその片鱗程度しか見せませんでしたが、麻奈の死後に活動休止したり、こそこそパンケーキ屋通いの趣味があったり、YouTubeに上がってるインタビュー動画を見ると、他にも書ききれないくらい本当にいろんなことがわかるし、想像の余地も滅茶苦茶ある。ゲーム版で早くその全てを見たくてしょうがない。
気づきました?キャラクターの性格に対し、ちょっと不自然に声がかわいいこと!11話の回想シーンで、麻奈と対峙した時だけトーンが低くて、キャラクターに合った声質になってること!あれは普段はアイドルとしての意識の高さから声質を意図的にかわいくしてて、ライバルの前でだけは本性を表してるってことなんですよ!多分!戸松遥が考えたプランニングなのか、ディレクションによるものなのかは判りませんが、そういうところで楽しませてくれるのは、声優好きとしてはたまらないわけです。
そしてこの顔である・・・
莉央と麻奈のライバル関係については、莉央から麻奈への矢印には満足しています。上記の声質についてもそうだし、琴乃との会話で色々吐露してくれましたし。逆に、麻奈から莉央に対してのライバル心をもうちょっとちゃんと描いて欲しかった。幽霊の麻奈が莉央を見ても、更には「劣化コピー」の話を聞いても、何の素振りも見せなかった。その描写不足は、莉央を惨めにさせる。日記に莉央のことが書かれていても、それでライバルというのは違和感が残ってしまう。だからかな・・・11話の回想シーンで葵が怒ってくれたことが凄く嬉しかったんですよね。
「GIRI-GIRI borderless world」のライブシーンはダンスだけでなくステージ演出やサビ終盤のカットインなどなど凝っていましたね。準決勝の結果については決して納得出来ているわけではありません。ただ、それはリズノワに限った話ではないので後述します。
サニーピース
さくらのワンマンチーム。・・・いや、怜は優れたダンサーだし、遙子ちゃんは総合力高そうだし、メンバーが弱いわけではないのですが・・・いかんせんさくらを軸にしたストーリーがドラマティックだったし、さくらを演じる菅野真衣がそれに相応しい歌唱力を持っていましたよね。2回戦での「song for you」なんてのはチームの私物化に他ならないのですが、そんな文句も封じてしまうくらいの歌でしたよ。絵が動かないとか、どうでもいい。素朴な琴乃verより、最終回放送後にTwitterで公開されたこってり本格派の麻奈verより、さくらの歌が一番良かったです。
「song for you」も素晴らしかったけれど、もっと素晴らしかったのは6話の「SUNNY PEACE HARMONY」。超キャッチーで、メンバーの個性も楽しめる。リズノワ然りトリエル然り、各ユニットのテーマ曲と言える曲はどれも素晴らしくキャッチーですが、この曲も例に漏れず。さくら以外の歌声の初披露シーンでもあったわけですが、このライブでまず株を上げたのは雫ですよね。普段はボソボソ喋る雫がちゃんと歌ってる!アップでのウインクもかわいい!っていう。あと、語らない訳にはいかないのが怜の歌唱力。完璧超人と思われた怜の意外な可愛げがここで発覚するという。作中で下手だと言われている訳ではありませんが、Twitterで牧野が流出した資料によれば歌の評価が全員中唯一の「△」。つまり怜の歌が微妙なのは公式設定ということ・・・。
で、極めつけに、後のライブシーンでも定番となる、息を切らしながら光に照らされる演出。余韻に拘ったのは滅茶苦茶グッジョブです。このシーンがあまりに眩しすぎて、その直後の大歓声も、7話以降の快進撃も納得するしかないわけです。月ストも確かに良かったけれど、一発目ということもあってか、サニピのインパクトには正直及ばないなと感じました。
月のテンペスト
こちらは琴乃のワンマンチーム・・・という訳こともなく。確かに4人の描写不足はありましたが、琴乃にさくら程の歌唱力がある訳でもなく、「song for you」のようなチーム私物化も無く、結束力を高めるシーンもあったくらいです。個人的には、琴乃は作中No.1美少女だと思っているのですが、作中そういう描写は無いですし、単に平均点が高いだけの人ですよね。
6話の「月下儚美」はクール系で、楽曲的には好み。ただ、直前の「SUNNY PEACE HARMONY」が各メンバーの歌声を印象的に残しているのに対し、こちらはどちらかと言えば雰囲気重視ですよね。あの独特のフィニッシュポーズしかり、あまり個の力で勝負している印象はありません。一番美味しいところは芽衣が持っていってますし、琴乃はとことん控え目。そう考えると好感の持てるキャラクターではありますが、でもトップアイドルになれるオーラは感じないし、「月ストがリズノワに勝つ」という結果に、説得力は微塵も感じませんでした。
この謎ポーズである・・・
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