今期は声優アーティストが不振?2012年秋アニメOP/ED CD売上レース9
アニメ合算CD売上グラフ考察
EDが発売された『PSYCHO-PASS』が2位浮上。1位『ソードアート・オンライン』しかり3位『マギ』しかり、SME/アニプレックス陣営の勢力が大きいですね。今期はキングレコード勢が大人しいというのもありますけど。
一方、『コード:ブレイカー』、『お兄ちゃんだけど愛さえあれば関係ないよねっ』、『バクマン。第3シリーズ』が脱落。後述しますが、これらの作品には共通点があります。
CD売上グラフ考察
注:薄緑は初登場のCD。薄グレーは今週脱落。グレーは先週以前脱落。
CD単独では『マギ』OPが首位をキープ。勢いは2位『SAO』OPにありますが、今週の売上を見る限りは7000枚の差がアッサリ埋まる様子でもなく、前クールで脅威のスタミナを発揮しているSAOに対して、今後マギがどれだけ粘れるかという展開になっていくでしょう。後日発売されるEDがOPのついで買いに結びつくところが想像できないので、そこが不安要素ではあります。
脱落した『コード:ブレイカー』OP、『お兄ちゃんだけど愛さえあれば関係ないよねっ』OP、『バクマン。第3シリーズ』EDはGRANRODEO、茅原実里、スフィア・・・というランティスの声優アーティストの中でもエースと呼べる面々。また、同じく脱落した『絶園のテンペスト』EDは花澤香菜で、こちらも声優ですね。
今期アニメの声優CDでは花澤香菜の1.59万枚がトップで、約400枚差で戸松遥が追走しています。ただ、今週の売上が300枚ちょっとであることから、来週生き残れずにこのまま順位が決まる可能性が高いです。
声優陣の不振から考える主題歌アーティスト起用
夏アニメでは、10万枚超えの水樹奈々は別格としても、戸松遥の『SAO』1stEDが3万枚超え。堀江由衣の『DOG DAYS'』ED、茅原実里の『境界線上のホライゾンII』OP、GRANRODEOの『黒子のバスケ』2ndOPが2万枚を突破しています。春もスフィアが3万枚超えで、GRANRODEOも25000枚超えを果たしています。冬は秋や夏ほどではありませんが、喜多村英梨が約22000枚。しかし、今期は声優で2万枚以上売り上げる主題歌が生まれませんでした。
声優の本人名義だけでなく、キャラソンでもヒット作がないのが今期の特徴です。夏であれば『ゆるゆり♪♪』、春なら『這いよれ!ニャル子さん』が3万枚以上売れていますが、今期は最高で『中二病でも恋がしたい!』ED(現時点で1.73万枚)。もちろんこれからまだ数字は伸びるでしょうし、このCDが今期唯一2万枚を超える可能性がある声優主題歌でしょう。ただ、その他がついてきません。
シリアスなアニメにはやはり本格派のアーティストが起用されます。逆に、軽いノリのラノベ原作系や日常系、ギャグアニメなどではキャラソンや声優が強い・・・この傾向は当分変わらないと思います。オリコンチャート、アニメ主題歌が声優だらけ・・・という話が話題になったこともありましたが、これはどういうジャンルのアニメが放送されているかに左右されますから、一概に「◯◯の時代は終わった」とは言えません。僕はアニメ業界(とりわけ深夜帯)がここ数年は妥当な歌手を選択してきたと思います。『マギ』が今後の業界に与える影響に不安は感じますがね。
来期であれば『はがないNEXT』や『たまこまーけっと』などキャラ名義の主題歌がヒットするでしょう。『みなみけ』や『ラブライブ』だってキャラ名義です。優勝候補はシリアス路線の『PSYCHO-PASS(2クール目)』でしょうが、全体的な傾向としてはキャラクター名義がかなりの割合を占めそうな雰囲気です。寒い冬は軽いノリのアニメでほっこりしましょう、というわけです。一方、個人名義の声優アーティストの名前はほとんど見かけませんね。『琴浦さん』の中島愛、『問題児たちが異世界から来るそうですよ?』の野水いおりくらいでしょうか(共にFlyingDogであることも要注目)。
それにしても、この秋と冬(冬はまだ情報不足ですが)、キングレコード/スターチャイルド陣営の水樹奈々、田村ゆかり、堀江由衣、喜多村英梨、小倉唯・・・といった面々がこぞってアニメ主題歌に参加していないのは何か裏があったりするのでしょうか。
今週のSAO CD売上票
CD | 初動(万枚) | 累計(万枚) | 備考 |
crossing field | 3.94 | 8.51 | 1stOP 18週目 |
ユメセカイ | 1.29 | 3.12 | 1stED 20週目 |
INNOCENCE | 2.46 | 3.70 | 2ndOP 3週目 |
Overfly | 1.85 | 2.32 | 2ndED 2週目 |
『獣旋バトル モンスーノ』はOPに続いてEDもチャートにランクインできず。ちなみにこのCD売上レースの連載を始めてからOPとED共にランクインできなかったのは、春の『プリティーリズムDMF』、夏の『探検ドリランド』に続いて3作目。ドリランドはともかく、やはり子供向けアニメのCDを売るのは難しいですね。今期ランクインできた子供向けアニメは声優効果が見込めた『アイカツ!』と、近藤真彦効果の『超速変形ジャイロゼッター』。今更書くようなことでもないですが、やはりCDを買うのは大人ですから、大人ファンに訴えるものが無ければCDは売れません。
子供向けアニメの主題歌はいかにして売るべきか
ただ、大人にうまく媚びながらも子供向けをしっかり貫いてる『スマイルプリキュア!』もありますし、90年代には「めざせポケモンマスター」が100万枚以上売れたこともあります。それらは作品のネームバリューがそもそも桁違いですが、ただ漫然とCDを売っても誰も得をしませんよね。(オリコンチャートには載らなくなりますが)玩具にオマケで付属するとか、逆にCDのオマケに玩具を付属するとか(これだと逆にチャート的にはセコい売り方になりますが)。子供に聴いてもらうということが大事な一方で、利益にならなければ商売にならない。大人向けCDと同じ土俵に乗っかっても埋もれるだけですし、子供向けならではの売り方を考えるべきでしょう。