多人数アイドルはもう、他愛無い。[2020年秋アニメ視聴録]
視聴アニメリスト
- メジャーセカンド 第2シリーズ(20~25話)
- ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会
- ヒーリングっど♥プリキュア (27~38話)
- ドラゴンクエスト ダイの大冒険 (1~13話)
- ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうかⅢ
- 魔女の旅々
- ご注文はうさぎですか? BLOOM
視聴断念
- いわかける!- Sport Climbing Girls -
- 安達としまむら
クール総括
各話評価
メジャーセカンド 第2シリーズ(20~25話)
視聴メディア:Eテレ
千代姉入部から辻堂戦、そして最終回まで。最終回はちょっと強引に最終回っぽい雰囲気を作ってる感があったのが気になりましたが、最後までクオリティは高かったですね。止まっていても動いていてもとにかく作画がいい。昨期散々睦子のかわいさを讃えたし、最後の6話もやっぱりかわいかったんだけれども、彼女に限らず太鳳も沢さんも凄くヒロイン的魅力のあるキャラクターでした。千代姉、関鳥も含めて、2年生組は皆好きです。ただ、そのけだるさ故にストーリーを動かす熱を持っていたのはアニータや仁科、千里の役目でしたね。そういう役割分担で動いていたストーリーも見事でした。
大吾は小学生の頃からずっと感情の乱高下を繰り返していますが、辻堂戦の光との再会は流石にショッキングでしたね。この光がまた、やたらイケメンの完璧超人に育っていたのが印象的。
原作を見る限り、次にアニメ化するのは何年後か解らないし、この第2シリーズのクオリティでやってくれるかも解りません。今の江頭とのゴタゴタから次のステップに進んで、いずれは光と再戦することになるんでしょうが・・・そこまでの道のりはかなり遠そう。でも、待ってますよ。
評価:4.50
全25話評価:4.32
ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会
視聴メディア:dアニメストア
意外、でした。1話を視聴する前は「とりあえず1話見て、つまらないことを確認して視聴断念確定しよう」ぐらいに思っていたんですよ。それは前作サンシャイン2期の内容があまりに残念だったのが最大の要因ですが、ニジガクが発表された時も、せいぜい果林のCVが久保田未夢で、デザインも好きだなーと思ったくらいで、そもそも果林とエマくらいしかキャラも覚えていませんでした。確かに、昨年出たアルバムで彼女らがソロ曲を歌っていたことに対して多少の好感は覚えましたが、彼女らが完全なるソロアイドルだということを知ったのはアニメを見ているさなかのことでした。
昨今のアイドルアニメに対する不満をいくつも抱えていたんですよ、自分。昔っから言ってる、メンバーの魅力を堪能できない多人数ユニットの象徴こそがラブライブだったし、プリパラやバンドリがやってるステージ垂れ流しもつまらなかった。それらの作中で観客が無機的に盛り上がるのも不気味だったんです。でも、このニジガクはそのすべてを払拭してみせてくれました。(できることなら・・・その役目は、贔屓目に見ている『IDOLY PRIDE』に担当してもらいたかったですが、残念ながらこれまでの情報を見る限りアニメ版アイプラは、その辺が全然解ってなさそうに見えます。シビアなストーリー展開には期待しますが、ことライブシーンには全く期待していません)
ソロアイドルをじっくり見せることは絶対的に正しいし、それをしっかりやってきた上での、最終回の全員でのライブシーンは見事という他無かったです。メンバーのソロライブの象徴的な振り付けを埋め込んできたのはしびれましたよ。
個人的には、愛さんがとりわけ素晴らしかった。あの「サイコーハート」のライブの何がいいかって、そりゃ曲も振り付けも素晴らしかったし、Aメロを中心に埋め込んだ2Dシーンの変幻ぶりも惚れ惚れするものでしたが、何と言ってもモブの子供に振り付けを真似させたことでしょう。その暖かさは、上述のアイドルアニメたちには無かったものです(無論、そんな観客を引き寄せるシーンもやはり歌とダンスが素晴らしくて初めて説得力を持つわけですが)。
終盤、強烈なインパクトを残したクレイジーサイコレズ歩夢についても触れておきましょう。あのシーンいいですよね。ストーリー展開自体が刺激的ですが、侑ちゃんの足を両足で挟んだり、2人のスマホが重なってブルブルしたり、こだわりを至るところに感じました。あと、歩夢を演じる大西亜玖璃の芝居が凄くナチュラルでしたよね。
この作品は後続に大きな影響を与えていて欲しいな、と感じました。リアルでもフィクションでも「アイドル=ユニット」が当たり前になっていたここ10年ちょい。それをいち早く打破したのは、その当たり前の中心にいたラブライブでした。これが流れになって欲しい。強くそう思います。
評価:4.07
ヒーリングっど♥プリキュア (27~38話)
視聴メディア:TVer
印象に残ったのは、ダルイゼンとのどかの因縁が発覚する28話と、ちから様が異様な存在感を発揮した32話。それから、ちゆのハイジャンプと旅館の仕事への迷いを段階を踏んで丁寧に描いていましたね。
歴代プリキュアの中でも、昨年のスタプリはキャラデザもストーリーも大鋼好みの最たるところで、傑作中の傑作だと思っているけれど、今作もそれに続くくらい好きなシリーズ。のどかもちゆも、ひなたも皆好感しか持てない。あすみも面白いキャラですし。ただ、この2年間が素晴らしかっただけに、先日発表されたトロプリのキービジュアルを見て、次の1年は日曜のアニメタイムを短くしてもいいかな、と思っています。声優次第では、またガッツリ見てハマっちゃうかもしれませんけど(爆)ともあれ、残り約2ヶ月ラストスパートで思いっきり盛り上げてもらいたいな、と思っています。
評価:4.33
ドラゴンクエスト ダイの大冒険 (1~13話)
視聴メディア:dアニメストア
最初からヒュンケル戦まで。
平成のアニメは小学生の頃、福井では放送されていなかったけれど、かすかに映る石川県のMROテレビのジャミジャミ(砂嵐。地デジ世代はわからんか・・・)の中、頑張って見ようとしていたのが思い出です。ツタヤでビデオレンタルした記憶もありますが、あんまり覚えていません。原作はポツポツとしか読んでいなかったですし、あらすじは解るけれど細かい話は解っていなかったので、今回のアニメは割と新鮮な気分で見させてもらいました。
キャプ翼と同じような匂いがする作風。アクのない無難なキャラデザと、見せ場の派手さは本当にキャプ翼の小学生編と同じ。ただ、キャプ翼はEDに「燃えてヒーロー」を使うなどの旧作を意識したつくりになっていましたが、今回はOPもEDも・・・今期、このアニメだけは毎回飛ばしていました。もっとドラクエアピールしていいですよね。「勇者よいそげ」をうまく歌える人なんてそうそういないでしょうけど、キャストに歌わせれば面白いと思うんだけどなぁ。
クロコダインとマァムの掛け合いはニヤニヤしながら見ちゃいました。旦那に向かって「なにが獣王よ!」とか言っちゃうみかこしの構図。
評価:3.61
ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうかⅢ
視聴メディア:dアニメストア
シリーズ3作目だというのに、落ち着くということを知らない作品。いやはや、毎回緊迫感が続きましたね。ヘルメス、食えないキャラではありましたが、いざ悪い方に堕ちると結構衝撃的でした。でも、下手な脚本・・・ヘルメスが目論んだ「泣いた赤鬼」よりギャラリーを痺れさせてしまうガチの闘い。アステリオスの突進のド迫力を見て、手に汗握ってしまいました。基本的には哀しい命のやりとりがある作品だけれど、このラストバトルが命の奪い合いではなく、力のぶつけ合い・・・平和的に終わったことは物凄く評価したい。悲惨な物語を否定するわけではなくて、「ありきたりな筋書きに収まるスケールじゃない」アステリオスとベルの存在の大きさを讃えたいのです。
アイズ戦のウィーネにしても、決死の覚悟と気迫が冷たい心を動かすわけです。この作品はしばしば絶望的な展開を見せるけれど、そこからの脱出にご都合主義を感じさせない。最初は・・・ベルの成長力はご都合主義的だったかもしれない。けれど、少なくともこのシリーズ3作目ではひたすら泥臭く絶望の中を駆け巡り、説得力を以て人の心を動かし、ストーリーを切り拓いた。心打たれないはずもありません。
評価:4.50
魔女の旅々
視聴メディア:dアニメストア
毎話、5段階評価をつけて、その平均点を評価としているこの記事の中で、今期唯一最低評価をつけた回があるのが、そう、このアニメ。あの9話は特別だとしても、3話や4話も大概な後味悪い話でしたよね。それでもこの作品を嫌いになれないどころかむしろ好感を抱けてしまうのは何故なのでしょう。
イレイナは可愛かったですよ。間違いなく。ちょっとひねくれた性格も含めて魅力あるキャラクターでした。師匠やサヤも味のあるキャラでしたが、この作品を好きな理由にはならない。自分でもハッキリとその理由をわかっているわけではありませんが、おそらくは・・・世の中をどう捉えているか、という話なんだと思います。
「うまくいかないこともある」「色んな人がいる」「割とバカバカしい」・・・そんな「世の中」というやつが持っている「当たり前」の性質を無視せず描いたのが今作だと思うのです。今どきの現代社会が持ってる生真面目さは病的なので、その辺を意識して多くの人に見てもらいたいな、と思うアニメ。
上田麗奈が歌うOP「リテラチュア」は彼女らしく、旅々らしくもある良曲ですが、ChouChoが歌うEDの「灰色のサーガ」がもたらす視聴後の後味というのも素晴らしかったと思います。1本のアニメをOPからEDまでの映像作品として見た時、意図した役割をしっかり果たしている楽曲、映像というのは美しいものなのですよ。
ちなみに、個人的に好きなのは7話のローズマリーちゃん回。バカバカしいけれど、なんかいいですよね。「なんか」でいいんです、世の中なんてのは。
評価:4.08
ご注文はうさぎですか? BLOOM
視聴メディア:dアニメストア
あんまり各話のストーリーというのは頭に残らない作品。ただ、その時その時の視聴後の感覚というのは決して悪くなくて、特に中盤以降目立った、チマメの進路の話というのは長くやってるシリーズならではの感慨がありました。その流れでの、あのED映像も良かった。あのあざとさが、余計に「いつまでもこんな時間は続かないんだぞ」っていう哀愁を抱かせるけれど、それはそれとしてマヤかわいい。
そういや、最終回のモカ・・・茅野愛衣の新境地って感じがしました。泥水飲んだ時の「ボェェ...」もその後のドスのきいた「悪影響でしょぉぉぉ!」もコミカルで、これまで見られなかった芝居。他にもところどころココアの姉っぽさを出してみたり、無論いつもの茅野愛衣らしくもあり、あの短い登場時間の中で存分に暴れまわりましたね。「暴れる」って言葉自体がこれまでの茅野愛衣には使ってこなかった表現。いやはや最後の最後に楽しませてくれました。
評価:3.83
クール総括
視聴予定の8作品中、7作を完走。宇崎ちゃんだけ1話で試聴断念しました。
MVP
『ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会』の宮下愛。正直、2Dと3Dで顔が全然別の人だと思いますが、両方いいですよね。この「部室棟のヒーロー」、凛々しい部分とかわいい部分、面白い部分を併せ持った愛さんがMVPです。
惜しいのは、4話と最終話以外ではあまり見せ場がなかったことでしょうか。ニジガクのソロアイドルスタイルは上で散々称賛しましたが、やはり9人+1人ともなると一人ひとりの掘り下げが難しいことには、あまり変わりはないのが現状ですよね。
なお、スクスタの宮下愛は完全に別人だと思っています。いや、実際のところラブライブの全キャラで「このキャラデザはねぇな」と思った唯一のキャラだったんですよ、もともとは。薄い髪色、瞳の色に対しての瞳の太い輪郭と瞳孔の黒がキツい。見た目に限らず、「サイコーハート」以外の彼女の曲を聴いても、やっぱりいいなと思えない。それはおそらくアニメの愛さんとスクスタの宮下愛がほぼほぼ違う性質のキャラクターだからでしょう。最初は愛さんがギャルってのを見て「え?そうなの??」ってなりましたもん。スクスタをプレイすれば印象も変わるんでしょうけど、あのギャップは埋まらないよなぁ・・・
愛さんの他には、『魔女の旅々』のイレイナはいい感じにひねくれていて、面白いヒロインでしたね。それから、『ダンまちIII』のアステリオス。いい勝負を見せてくれました。2020年のベストバウトでしょう。
ベスト・アニソン
『ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会』より、桜坂しずく(CV.前田佳織里)が歌う挿入歌「Solitude Rain」です。上で散々愛さん持ち上げておいて「サイコーハート」じゃないんかい!ってところですが、いや、サイコーハートも大好きなんですけど、ここはSolitude Rainなんです。別記事でも書きましたが、この人の持つ良曲を引き寄せる引力は凄いですよ。
かくも良曲を引き寄せる、桜坂しずくの引力。2020/12/16頃発売のアニソンCD新譜
ドラマ性のある曲は強い。特に素晴らしいのはBメロ中盤からサビに向けてリズミカルに盛り上がっていくところ。振り付けもしっかりリズムに乗っていて心地よい。それから、この場でビジュアル面に触れるのも何ですが、こういう歌を軽いジト目で歌い上げる様も美しい。文句無い、今期のベスト・アニソンです。
ベスト・アクター
松岡禎丞です。何気に初の男性声優の選出になります。いやはや、ベル・クラネルほど演じ甲斐のあるキャラクターもなかなか無いんじゃないでしょうか。ショタっぽいかわいい部分もあるけれど、今回の『ダンまちIII』最終回でベル見せた気迫、痛み、悔しさというのは、そんじょそこらのキャラクターでは見せる機会すら与えられない。昨期、松岡禎丞の主演作を3本も見ました。その仕事量はまさしく勲章モノですが、しかし彼の「底」にここまで肉薄できる作品はダンまちだけでしょう。
次点を挙げるなら、本渡楓でしょうか。イレイナのひねくれを、すっきりした芯のある声で表現してくれましたね。それから、久保田未夢の名前も挙げておきたい。らしさをよくぞあそこまで尖らせて、いい声優になったな、と思います。
あとがき
メジャーセカンドとダンまちIIIの高得点が目立ちますが、ヒープリも魔女の旅々も、ニジガクも本当に楽しませてもらいました。かなりハイレベルな秋だったと思います。
来期は8作品視聴予定で、そのうち今期からの継続が2本、シリーズものが3本。新作が3本。2月末から新しいプリキュアが始まりますが、キャラデザから惹かれるものは今のところ無くて、見るかどうかはキャスト次第ですね。最注目は『IDOLY PRIDE』。QualiArts作品ということで応援していますが、アニメのキャラデザ(アニメ以外で見れるQP絵は大好きですよ)、声優の練度(主にミューレ3期生の)、旧態的な多人数ユニット、主題歌の頼りなさが不安でしょうがないのが実際のところです。最大のウリであろうシビアな競争ストーリーには期待していますが、そこも鬱々とし過ぎないといいな・・・ニジガクが思いっきりハードル上げてくれたので、あまり比較せず見守りたいけれど、実際見始めたら、嫌でもそういう見方はしちゃうでしょう。うーむ、いい意味で予想を裏切って欲しいぞ。