DAIMONZI-X

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DAIMONZI-Xアニソン年間大賞2023

2024年07月22日 22:02 更新                  
カテゴリ: [アニソンレビュー][2020’s作品]

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はじめに

 みなさんこんにちは、アニソン狂いでおなじみ大鋼 断です。これは2023年にリリースされたアニメやゲーム、特撮、メディアミックス作品の関連楽曲の中から、ベスト・アニソンを決めて勝手に表彰してしまおうという企画です。名付けて、DAIMONZI-Xアニソン年間大賞・・・!

目次

  1. ノミネート作品リスト
  2. 新人賞
  3. 優秀賞
  4. DAIMONZI-Xアニソン年間大賞
  5. あとがき

ノミネート作品リスト

 ひとまず、2023年にリリースされた楽曲の中から「良い」と思った楽曲をノミネート作品として38曲リストアップしました。

ノミネートの条件は以下のいずれかを満たす場合。
・2023年にリリースしたCDに初収録された楽曲
・2023年に動画またはデジタル配信で初めて世に出された楽曲
・2022年以前に動画またはデジタル配信されていたが、2023年にリリースされたCDに初収録された楽曲(ただし、他の年にノミネート済の場合は除外)

クリックで画像を原寸表示します。

新人賞

 2023年にアーティストデビューした人の中で、最も素晴らしかった人に贈る賞です。

相良茉優

 11月15日、アルバム「Smile my style」でデビュー。良かった・・・今年はちゃんと新人を選ぶことができました。(昨年は「新人・・・?」っていう苦肉の人選だったので)

 選出は割と悩みました。、同じニジガクメンバーの前田佳織里も有力候補でしたし、将来的にビッグになっていくのは蓮ノ空女学院スクールアイドルクラブだろうなぁ・・・とも思いました。ただ、聴き心地の良さ、アーティスト自身の魅力を存分に発揮しているのは相良茉優でしたね。

 近年、アニメ/声優アーティストのCDはめっきり扱わなくなっていたユニバーサルミュージック(NBCじゃないぞ)からのリリースなので、今後ちゃんと活動継続するのか未知数ですが、頑張って欲しいな、と思います。

優秀賞

 贔屓目抜きに素晴らしかった楽曲たちと、贔屓せざるを得ないほどのめり込ませる楽曲たちに贈る賞です。今年は全10曲・・・!

AUO feat. MORISAKI WIN
DAY1
作詞:Len
作曲:アオワイファイ
編曲:Len


 『英雄王、武を極めるため転生す』OP。歌っているのは森崎ウィン。当時、聞き慣れない名前だと思って調べたら俳優で、映画『おしょりん』で福井県にもゆかりがある人なんですね・・・。ドンブラザーズのOP/EDも歌ってたり、最近ではSEED FREEDOMに出てたり、アニメ方面で活躍を増やしている感じでしょうか。

 いや、正直最初聴いたときは平べったい退屈な曲だなーって思ったんですよ。昔ながらのアニソンの旨味のない曲だなー、と。でも、このドヤ顔満載のOP映像が滅茶苦茶クセになるもので、見続けているうちにこの曲も大好きになりました。歌詞はまんまイングリスの生き様を歌っているし、楽曲もちゃんと聴けば起承転結がハッキリしているし、イントロはしっかり印象的だし、サビの中で「ダダダダッ!ダッダダッ!」ってドラムで格好良くメリハリをつけているし、しっかりアニメソングの良さを持った曲です。

白鷺陽芽(CV:小倉唯)&綾小路美月(CV:上坂すみれ)
夢が覚めても
作詞・作曲:YAMATSU
編曲:設楽哲也

 『私の百合はお仕事です!』ED。百合アニメのエンディングとしての佇まいが素晴らしい。小倉唯と上坂すみれの歌声も好対照で、互いの良さを引き立てていますよね。こういうキャラソンでハモってるのって、珍しいんじゃないかな?

 上坂すみれのこういう声大好きなんですよ。一番最初にそう感じたのは『SHOW BY ROCK!!』でした。なんて言えばいいんでしょう、色気・・・でもないし。けれど女性的魅力を強く感じると言いますか。声優特有のほのかに芝居がかった歌唱。多分大抵の人は小倉唯のかわいい声にインパクトを感じるんでしょうけど、小倉唯の声がかわいいからこそ、上坂すみれの声の魅力も増幅されて、この凛とした上品な歌唱がより魅力的に感じますよね。上坂すみれ自身はエキセントリックなキャラクターで生きている人ですが、演じてる時はしっかりそれを忘れさせてくれるのが見事だと思います。

井川 葵 (CV:高垣彩陽)
スフォルツァート
作詞・作曲:ZAQ
編曲:EFFY

 スマホゲーム『IDOLY PRIDE』より、井川葵のキャラクターソング。

 2024年2月時点で、ゲーム内では登場していません。キャラクター名義でこそありますが、劇中歌的なものではなく、キャラクターをイメージし表現した曲と言えるでしょう。そりゃそうだ、葵はまずこんな風には歌えないはずです。

 何せ、高垣彩陽が巧い。アイプラの全キャストの中で彩陽の歌唱力は突出しています。が、葵は歌ではなくダンスの天才という設定。この曲はもう、明らかにキャラクターの歌唱ポテンシャルからはみ出した歌唱をしています。葵の声帯で、葵のではない歌唱力を以て葵の内面を表現している。その結果は「井川葵」そのもの。ポーカーフェイスな葵のダンスは、内面は、これほどまでに激しいのか。これは設定として受け取れるレベルのものです。

 僕はテクニカルな歌唱というものを、普段あまり評価しません。格好つけずにまっすぐに気持ちをぶつけるような歌唱の方が好きです。この曲は、こんなにもテクニカルなのに、それが全く鼻につかない。あまりにキャラクター然としていて、井川葵以外の何者でもないのです。井川葵の歌唱力じゃないのに!こんなことができる役者、アーティスト、表現者・・・地球上に何人いる?

リリース当時の記事はこちら。
井川葵のスフォルツァートという表現。他 雨宮天、影山ヒロノブ 等 2023/06/21頃発売のアニソンCD新譜

影山ヒロノブ
Winner Win!
作詞・作曲:影山ヒロノブ
編曲:寺田志保

 『デュエル・マスターズ WIN 決闘学園編』1st OP。

 久しぶりに聴く影山ヒロノブのソロ。アニソン界のプリンスと呼ばれていた頃と比べれば、一晩寝かせたカレーみたいなコク重視の歌唱ですよね(とは言えそれも20年くらい前からの話だけど…)。

 ついつい聴きたくなってしまう。JAM Projectはいつ頃からか個性のぶつけ合いより綺麗に(或いはとことん汚く)まとめがちになっていって聴かなくなってしまったけれど、僕がずっと聴きたかった影山ヒロノブはまさにこの曲だったんだなぁと。歌は言わずもがなですが、作曲に関しても、本当にキャッチーで格好いい曲を作れる人なんですよね。4分超の間、影山ヒロノブに浸れるってのは幸せなことです。

 一番いいところで「デュエマは最高」って歌詞だけはどうなんだろう・・・って思いもありますが、あれは影山アイデアなのか、アニメサイドからの要望なのか、どっちなんでしょうね(笑)

リリース当時の記事はこちら。
井川葵のスフォルツァートという表現。他 雨宮天、影山ヒロノブ 等 2023/06/21頃発売のアニソンCD新譜

May'n
LIES GOES ON
作詞:May’n・古屋真
作曲・編曲:JUVENILE・TeddyLoid

 アニメ『ライアー・ライアー』OP。アニメってより、MVが良いですね。力強いダンスミュージックに、黒がよく似合う。

 FLYING DOGでソロデビューした頃からずっと海外でライブをやっていて、アニメ『アズールレーン』のOPなんかも歌っていましたが、中国などでの支持は相当なものなんだろうな・・・と、そんなことをふと考えてしまうようなアジアンテイストなイントロ。まぁイントロ抜きにしても、May'nのパワフルな歌唱はスカッとするし、ドラムも心地良いし、ハイクオリティですよね。

リリース当時の記事はこちら。
May'nはいつまでもMay'n。 他 i☆Ris、ミリアニOP 等 2023/08/23頃発売のアニソンCD新譜

ⅢX
So What?
作詞:Mayu Wakisaka
作曲・編曲:ハヤシベトモノリ(Plus-Tech Squeeze Box)

 スマホゲーム『IDOLY PRIDE』より、2023年7月のイベント曲。

 スリクス3曲目となるこの曲は、エスニックなダンス・ミュージック。「So What So What」で「そわそわ」と読ませる。スリクスお得意の手法ですよね。

 スリクスは初登場から星見プロ入りするあたりまでは賛否でも否の目立つユニットでした。あれから番外編で裏事情が発覚したり、他の星見アイドルが積極的にスリクスに絡んでいったりで、彼女たちへの世間の感情はすっかり丸くなったと思っていますが・・・一人のマネージャーがスリクスを受け入れるパターンというのは大きく以下の3つに分けられるんじゃないかと思います。

・初登場からずっと好きだった
・嫌いだったけど好きになってしまった
・時間の経過とともにどうでもよくなった

 僕は1番目ですが・・・この曲を聴いていると、2番目の人たちの心境を想像してしまうんですよね。というのも、サビにある「悔しいんでしょ 結局虜になって」「好きなんでしょ すっかり虜になって」ってのはもう彼ら彼女らにとって、あまりにも挑発的な、これ以上ない殺し文句ですよね。もしかしたら、トリエルや月ストから推し変した人もいるかもしれない。あの娘たちを裏切って、憎くてしょうがなかった私の虜になる気分はどう?って言ってるんですよ。ゾクゾクしません?

 楽曲内には2番のmihoによる「HAHAHAHA」然り、印象的なパートがいくつか存在しますが、個人的にはこのサビの挑発が全部持ってきました。あえて注文をつけるなら、あの歌詞が更に重みを持つように、作中でまたバチバチやって欲しいですね。

リリース当時の記事はこちら。
IDOLY PRIDE怒涛の6曲配信! 他 2023/09/13頃発売のアニソンCD新譜 

月のテンペスト
最愛よ君に届け
作詞:利根川貴之
作曲:利根川貴之、坂和也
編曲:坂和也 & Wicky.Recordings

 スマホゲーム『IDOLY PRIDE』より、ゲーム未配信の曲。メインストーリーBIG4編の主題歌と呼ぶに相応しい佇まいですよね。月ストは「裏と表」もそうでしたが、ストレートにストーリーをイメージしたものになっているためか、劇中歌としてはなかなか使用されませんね。まぁ、これを出してしまったら「こんな曲歌っといて負けるの・・・?」ってなっちゃいますよね。負ける説得力がなくなる。勝つには説得力不足だったアニメ準決勝と真逆の現象が起こってしまう。

 アニメソング然としているのが凄く好みです。琴乃のソロパートが無いこともあってか、渚がいつも以上に頑張る。特にライブで。夏目ここなは熱唱派としていい感じに成長している感がありますね。

リリース当時の記事はこちら。
IDOLY PRIDE怒涛の6曲配信! 他 2023/09/13頃発売のアニソンCD新譜 

fran (CV:Lynn)
CHOOSE ME CHOOSE ME
作詞・作曲・編曲:けんたあろは

 スマホゲーム『IDOLY PRIDE』より、franのキャラクターソング。

 この曲は「スフォルツァート」とは異なり、franの高い高い等身大の歌唱。格好いいキャラクターの格好いいイメージソング。堂々としているけれど、立ちはだかるよりは立ち向かう感じの強い曲。敵だった頃の雰囲気ではありませんし、スリクスではなくあくまでソロ。感じるのは独りで進んでいく強さ。

 この曲を初めて聴いたのはこの年の夏の幕張でのライブ。Lynn本人は凄く緊張していたということをラジオで語っていましたが、未発表の新曲を披露する姿は堂々としていてとても格好良かったです。

 ダンスミュージックだとは思うけれど、あまり動かず仁王立ちでパワフルに歌うのも格好いい。劇中歌として出せとまでは言いませんが、ゲーム実装して欲しいなぁ。

リリース当時の記事はこちら。
IDOLY PRIDE怒涛の6曲配信! 他 2023/09/13頃発売のアニソンCD新譜 

キタサンブラック (CV.矢野妃菜喜)、サトノダイヤモンド (CV.立花日菜)、
サトノクラウン (CV.鈴代紗弓)、シュヴァルグラン (CV.夏吉ゆうこ)、
サウンズオブアース (CV.MAKIKO)、ドゥラメンテ (CV.秋奈)
ソシテミンナノ
作詞:椎名宇伊 (Cygames)、本田晃弘 (Cygames)
作曲:本田晃弘 (Cygames)、Lucas Nainemoutou (Cygames)、千葉 梓 (Cygames)
編曲:東大路憲太、下 智子、伊禮 完 (Cygames)

 『ウマ娘 プリティーダービー Season 3』OP。

 2期までの「いつもの面々」とは違い、あまり馴染みのないキタサン世代にガラリと切り替えてきました。僕もアニメは一応見る予定ではあったものの、あまり期待していなかったのが正直なところでしたが・・・

 いざOP映像を見てみると、熱い熱い。「勝ちたい 勝ちたい 勝ちたい」から始まり「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」に終わる。ラストの走ってるマジ顔も相まって、とても印象に残るOPになりました。

リリース当時の記事はこちら。
パワフルなウマ娘3期OP/ED!花澤香菜17thシングル他 2023/11/01頃発売のアニソンCD新譜

 

DAIMONZI-Xアニソン年間大賞

大鋼が選んだ2023年No.1アニソンはお前だ!

LizNoir
最高優美ロンリネス
作詞・作曲・編曲:Q-MHz

 『IDOLY PRIDE』より、2023年1月のイベント曲。LizNoirは一昨年の「Shock out, Dance!!」、昨年の「Darkness sympathizer」に続き、なんとV3達成!

 これまでのLizNoirの曲の中では陽の雰囲気の強い曲だけれども、陰で始まり、サビで陽になり、最後はまた陰に戻る。更に分解すると、莉央と葵の頃からのLizNoirらしい気高さはAメロに。Bメロは、「バイバイ弱気はどっか行け」に象徴されるように、愛とこころの加わった新生LizNoirらしさが込められていますよね。

 そこから爽やかなサビ。爽やかだし、明るい。「いいことがありそう」なんても言っちゃう。「君からも声を聴かせてよ」のところなんて、パワーアップ感というか・・・スーパーキノコを取った時の効果音が聴こえてきそうな勢いですよね。こんなに元気なのに「孤独」だと言う。

 気高く生きるってことは多少なりと孤独ですよね。意思を貫くことは共感の真逆。けれどもそんな孤独性に惹かれるファンもいて、実はLizNoirとファンの間には共感がある。「もっと届けたい 心からの声」「君からも声を聴かせてよ 応えるよきっと」と、これらはLizNoirができる最上級のデレ。

 思いっきりデレた後の「A lonely lonely dream」。3DMVのダンスとカメラワークによる目まぐるしさが印象的。クルクル感が美しい。デレてはみるものの、ファンが望むのは最高優美な孤独。いつまでも陽ではいられない。

 この曲が公開されたイベントストーリーは、アニメの頃から対戦成績で言えばずっと何ひとつ良いところのなかったLizNoirの状況を逆手に取って盛り上げた良いストーリーでした。2023年のLizNoirは大いに期待できる・・・そんな内容だったけれど、まさか次のイベントストーリーが2024年になろうとは思わなかったですよね。ストーリーの中だけでなく、何から何まで不遇な彼女たちの渾身の一曲は、一方で他の誰もが届かない、比肩できる楽曲が存在しないレベルの、まさに最高優美でロンリネスな曲でした。

リリース当時の記事はこちら。
アイプラ3枚目のフルアルバム「未来」! 他 花澤香菜16thSG 等 2023/02/01頃発売のアニソンCD新譜

あとがき

 アニメは見ても飛ばさず聴くOP/EDというのがなかなか無い・・・とは言え全く無くなる訳でもない。今回優秀賞で選んだ9曲の中で、視聴したアニメの主題歌から3曲選出できました。

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 世間的にはYOASOBIの独壇場でしょうか。サビでJAM Projectの「STORM」に繋がると話題になっていた「アイドル」以外にも水星の魔女にフリーレンと話題作で立て続けに起用されていて、まさに天下状態。ただ、アニソン的旨味のある曲はランキングの下の方まで見てもなかなかありませんね・・・。そりゃ90年代のビーイング全盛期と一緒くたにするのは違うんでしょうけど、アニメを見る前の気分を高めるような、あるいは次への期待を煽るような派手でキャッチーなアニメソングの旨みを感じられる雰囲気というのは割合減ってきているのを実感しています。

 2019~2022年まで4年連続で優秀賞に名を連ねていた佐伯伊織が今回はいません。Clutch!も新曲を出してはいるけれど、ちょっと財政的に厳しい中で入手困難なCDを限定販売されては手を出せない。またハチナイ、ウマ娘はもちろん、それ以外でも活躍して欲しいですけどね。

 それと、男性ヴォーカルが2019年以来4年ぶりに2人選出(前回は「お願いマッスル」と「闘魂!ケモナーマスク」)。影山ヒロノブがまだソロで新曲を歌ってくれたのも嬉しいし、森崎ウィンは、OP映像と併せて聴けば聴くほど旨味を感じる良き主題歌でしたね。OP曲は一発でもってくインパクトが欲しいのも事実ですが、OP/EDは映像との共同作業ですから、結果良ければOKです。

 そしてLizNoirのV3達成。「選びたい」ユニットであることは事実ですが、優秀賞の9曲を押しのけてまで「選ぼう」と思えたのは、やっぱり楽曲の力です。曲も詞も歌も、とことんキャッチーで、気高さを表現していて、僕好みでした。一方で、これを書いてるのは2024年3月ですが、現時点でのLizNoirの最新曲「星のように夜を照らせ」では正直来年の大賞は厳しいです。そこはあくまで良い曲を今後も選んでいきます。(2024年中にもう1曲新曲あるといいなぁ・・・)

   
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