DAIMONZI-Xアニメ年間大賞2020
目次
部門賞
MVP
1年間で、最も素晴らしいと感じたキャラクターを選出します。
ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会
宮下愛 (CV.村上奈津実)
愛さん。昨年の天宮えれなに引き続き、またも太陽のようなキャラクターを選出してしまいました。やっぱり、明るく元気で、それでいて凛々しさのある、格好いいし可愛くもある、極めつけにはダジャレ好きの、嫌いようのない完璧超人は強いですよ。
ただ、彼女がこれまでのラブライブのスクールアイドルたちと決定的に違った点は、ライブシーンの中にありました。確かに・・・「サイコーハート」は元気で良い曲だし、愛さん自身も2Dと3Dでだいぶ雰囲気が異なったけれども両方可愛かったし、何回でも見たくなる素晴らしい映像でした。でも一番グッと来たのは、サビでモブの子供たちが振付をマネしてたじゃないですか。ラブライブに限らずですが、こういうアイドルもので、観客がすごく無機的な評価装置、慈悲的な賑やかしとしてのみ存在していたのが、前々から物凄く嫌だったんですよ。でも、あの愛さんのライブは観客がちゃんと生きていた。愛さんが命を吹き込んだんですよ。それは本来のエンタメのあるべき姿です。太陽。これぞ太陽ですよ。
ちなみに、各クールのMVPは以下の4人でした。
冬: 鈴矢萌 (恋する小惑星)
春: アルテ (アルテ)
夏: 佐倉睦子 (メジャーセカンド 第2シリーズ)
秋: 宮下愛 (ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会)
ベスト・アニメソング
OP曲、ED曲、挿入歌、劇中歌から最も素晴らしいと感じた楽曲を選出します。別途公開するアニソン大賞との違いは、ノンタイアップは取り扱わないことと、期間内にアニメで使用されていればリリース時期に関係なく候補とする点です。
桜坂しずく(CV.前田佳織里)
Solitude Rain
『ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会』第8話劇中歌。キャラクターが愛さんなら、曲はしずく。(いやまぁ、サイコーハートと迷ったんですけどね・・・)
なんと言ってもドラマティック。女優設定がいい感じに作用しています。「オードリー」しかり、良曲を引き当てる引力を持っていますよね。
イントロのピアノ・ソロいいなーと思ったら、セリフが始まる。Aメロのちょっと昭和臭いムードの出だしもいい。そういうムードで始まるんだけれども、Bメロのサビに向けて、リズミカルにズンズン高まっていくのもいい。サビは力強いけれども、決して熱唱しているわけではありません。この少女的な頭身の歌唱は魅力です。
キャラクターソングの魅力って、実はそういうところにもあるんですよね。キャラクターの個性に対して、とても素直に歌う。現実の歌手はきっと、向上心と共に「かくあるべき」を目指す。だから普通に歌うわけにはいかない。けれど、キャラクターソングは最初から「かくあるべき」が用意されている。そこに向けて、キャラクターの魅力を損なわない歌唱が求められる・・・結果的に、歌唱するにあたって個性の足し算をすることってほとんど無いですよね。普段のキャラクターらしく、を徹底する。だからキャラクターソングに惚れてしまうなんてことが起こりうるわけです。
この曲、ぜひ2番も聴いて欲しいんですよ。1番ではムーディーだったAメロの出だしが、2番では歪みのきいたギターのバッキングが最初から鳴っているんですよ。1番のサビを経て力強くなったAメロ。とことんドラマティックですよね。
曲とは関係ないですが、アニメのライブシーンの若干ジト目気味のしずく好きなんですよ。アニメを沢山見ていても、ああいう表情ってなかなか見れませんよね。嗚呼、役者。
各クールのベストアニソンは以下の通りです。全部英語だ・・・
冬: final phase (とある科学の超電磁砲T)
春: Lost Princess (プリンセスコネクト!Re:Dive)
夏: dual existence (とある科学の超電磁砲T)
秋: Solitude Rain (ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会)
ベスト・アクター
1年間で最も素晴らしいと感じた声優を選出します。
小松未可子
『ダイの大冒険』では姉御肌なマァム、『ダンまちIII』でフェルズという珍しいキャラを演じていましたが、強烈な輝きを放っていたのは『アルテ』のアルテでしょう。小松未可子という役者は、キラキラした声で視聴者の耳を蕩かすわけでも、圧倒的表現力でキャラの深淵を表現するわけでもないのですが、ピタリとハマるタイプの役を掴んだ時に、物凄い爽快感を生む人。加藤茉莉香もセレジアも、マァムもそうかもしれない。サッパリしていて、ちょっと強気なところがあって、でもボーイッシュとまではいかない(得意だけどね)。そういうキャラクターを演じたら誰もかないませんよね。この声で「がんばるぞー!」って言われたら、腑抜けてはいられないでしょう。そういう役者。
各クールのベスト・アクターは以下の通り。
冬: 成瀬瑛美 (スター☆トゥインクルプリキュア)
春: 小松未可子 (アルテ)
夏: 悠木碧 (彼女、お借りします, ヒーリングっど♥プリキュア)
秋: 松岡禎丞 (ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうかⅢ)
成瀬瑛美は・・・最初はなんて人を抜擢したんだと思いましたよ。ただ、アニメを見続けるにつれ、この人で良かったなと思うようになりました。最終回での「キラやば☆」は感慨深かったです。1年間の重みを感じました。
悠木碧は流石ですよね。のどかも時々凄みを見せていたけれど、やはり七海麻美のインパクトは強烈でした。思えば、彼女がまだ10代の頃からあざとい芝居は巧かった。早熟の天才という言葉がよく似合う人ではありますが、けれどもその演技力に慢心せずに成長を続けていたのがよくわかります。
そして松岡禎丞。世間はキリトを評価するかもしれないけれど、断言します。彼の真骨頂はベル・クラネルです。あのかつてはかわいかったベル君がひたすら泥臭く、男意気地で壮絶に戦いきったダンまちIIIの最終回は傑作でした。あの壮絶さを表現できる役者が、他にいるかもしれない。けれど、あれを見てしまえば、彼の壮絶な芝居を他の作品でも見てみたいと思ってしまうでしょう。そういう引力が彼を売れっ子たらしめていると思うなぁ。
あとがき
1期から大きく変貌を遂げ、垢抜けた『メジャーセカンド』が2020年のアニメ年間大賞でした。偶然か必然か、昨年のハチナイに続き、2年連続の野球アニメ。野球好きだなぁ、自分。とは言えハチナイは「巷じゃ評価されてないし、作画は確かに一部アレだけど、大好きだぞ!」と思っていたのに対し、メジャーセカンドは老若男女問わず誰にでもオススメできる高品質アニメで、同じ女子が野球をやるアニメながら、雰囲気はかなり異なります。どちらが好きかと言えば、やはり大鋼はハチナイを選んじゃいますけどね。でも間違いのない傑作ですよ。
部門賞2冠を達成した、『ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会』も素晴らしかったです。あまり何度もくどくどと書くのも何ですが、やっぱり長年抱えてたアイドルコンテンツのモヤモヤを片っ端から吹っ飛ばしてくれた、歴史のターニング・ポイントとなる作品ですよ。いや、「ニジガクがターニング・ポイントだったね」って言えるようにしていかなきゃいけないんです、後出の作品たちが。即ち、キャラクター一人一人の個性をしっかり輝かせること、魅力ある―というより説得力のあるライブシーンを自由な作風で描くこと、それと・・・あんまり客を無機的な評価装置として描いてくれるなよ、ということです。
最後に。大鋼の評価はさておき、世間での2020年のヒットアニメって何だったんでしょう。今年も他所のランキングを覗いてみました。
2020年一番好きなTVアニメは?3位「アイナナ」、2位「ワタル」、1位は…【2020年アニメ!アニメ!総選挙】 | アニメ!アニメ!
『呪術廻戦』は何となく「ポスト鬼滅」的な印象がありますが、2019年に『鬼滅の刃』という大ヒット作が現れ、2020年は社会全体がまだその余韻に浸っていたような感じで(映画もレジェンド級のヒットになりましたし)、あまり他のアニメが話題になっていたのを見なかったように思います。あえて言うならば劇場版『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』は絶賛されていたのをよく見たし、大鋼も見て素晴らしいと思いましたが、それくらいでしょうか。2021年は、4月時点ではウマ娘が賑わっていますが、他にもヒット作がどんどん出てくるといいですね。無論、当サイトとしては、ヒットしてないけど素晴らしいぞ!って作品もベタ褒めしていきたいところです。